走り抜けた。最後まで。4試合ぶりの勝利を告げる笛をピッチで聞けたのは、今季初めてだった。鹿島アントラーズDF内田篤人は2月14日のACL上海申花戦以来、今季2度目のフル出場を果たした。Jリーグ復帰後、初アシストという結果を携えて。だが、価値が高いのはそのアシストよりも「フル出場」と即答した。「前半抑えて、という感じではないので」。問題なし-。それを見せつける試合だった。

 何よりチームに活力を与えたのが、前半4分だった。MF遠藤がボールを持った瞬間、トップスピードで駆け上がった。縦パスが出るが、相手はついてこれない。「ゴロか、頭か。とりあえず速いボールをマイナス(の角度)にと思っていました」。右クロスはFW鈴木の頭にピタリ。09年12月5日の浦和戦でFW興梠に決めて以来、リーグ戦で3070日ぶりのアシストだった。当時も勝利。それはこの日も。役者が仕事をすれば、鹿島は上昇する。