イラン代表が、公然と政府に反旗を翻した。

試合前のセレモニーで、整列した選手たちのほとんどが、国歌の演奏が始まっても口を真一文字に結んで歌うことはなかった。

9月に女性が髪を覆うヒジャーブ規則に違反したとしてマフサ・アミニさんが道徳警察に拘留された後に亡くなった事件後、イラン国内では反発が広がった。サッカー選手も例外ではない。今回の行動も抗議の一環で、世界が注目するW杯の舞台で異例のできごととなった。

サッカー界では、元バイエルン・ミュンヘンのアリ・カリミがSNS上で抗議の声を上げ、伝説のストライカー、アリ・ダエイも賛同。国内リーグではゴール後の喜びやパフォーマンスを封印した。抗議活動が始まってからは、国内リーグは無観客開催となり、政府も抗議の輪が広がるのを恐れている。

サッカーだけでなく、バスケットボール、バレーボール、水球などは、最近の試合で国歌を歌わないなど、反ヒジャーブ運動でスポーツ界も共闘している。大会前の20日には代表のエジサン・ハジサフィがドーハ近郊で会見し、イランの反ヒジャーブデモを支持すると表明していた。

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