国際サッカー連盟(FIFA)は17日のロシア-ニュージーランドで開幕したコンフェデレーションズ杯で、差別行為の撲滅へ強い決意を示している。FIFAの公式大会では初めて、審判団が試合の中止を含む措置を取ることが可能なことを確認。開幕を前日に控えた16日にロシアのサンクトペテルブルクで記者会見したサムラ事務局長は「どんな差別も許容しない」と断固たる姿勢をアピールした。

 サッカー界では人種差別がしばしば問題となる。4月にはセリエAで、元ガーナ代表のムンタリ(ペスカラ)が差別行為に及んだサポーターへの対処を審判団に要求。しかし、聞き入れられずに逆にムンタリが警告を受けた。ムンタリは抗議の意味を込めて試合中に自らピッチを去った。

 差別行為が行われた場合、審判団が取る措置は「3段階」に分かれている。差別的な歌が歌われたり、横断幕が掲げられたりすれば、まずは場内アナウンスを通じて即座にやめるように呼び掛ける。それでも行為が続けば試合を一時的に中断し、最終的にはそのまま中止させることもできる。

 コンフェデ杯は日程が決まっており、試合が中止された場合の運営上の影響は大きい。それでもサムラ事務局長が「あらゆる差別をなくすことが目的」と言うように、毅然(きぜん)とした態度を示すことで世界中に反差別のメッセージを伝えようとしている。