2020年東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は4日、札幌に移転した東京オリンピック(五輪)のマラソンで、世界陸連との交渉が難航している周回コースについて、札幌市が推す2周回コースを1周した後の計画は、継続協議にすると発表した。国際オリンピック委員会(IOC)、組織委、世界陸連の3者で合意した。

地元札幌が大会後、ハーフマラソンなどに活用したい考えから2周回を推す一方、世界陸連は6周回を主張していた。この日まで断続的に協議し、札幌が主張する20キロコースを1周目とする方向で世界陸連が譲歩。しかし、2周目以降は7キロを3周する案を新たに示し、まとまらなかった。世界陸連は同市にスタッフを派遣し、現地視察した上で、今月中旬までに3者で結論を出す。

世界陸連は世界的には人気が低いマラソンのコースを広範囲にすると観客がまばらになることを懸念。多周回にすると観客が集まりやすく、警備や運営スタッフの配置、給水所の設置など、運営面も楽になる。

一方、組織委は地元の意向をくみタフな交渉を続けた。組織委の森喜朗会長は「世界陸連が現地を見たら、日本側の主張を受け入れてくれるだろう」と期待を込めた。

競技日程は決着。8月2日だった女子マラソンを8日に変更。男子マラソンは大会最終日の9日に据え置いた。ともに朝7時スタート。競歩は6、7日で3種目を実施する。

マラソン、競歩の大通公園発着はIOC理事会で承認を得た。大通公園には観客席を設置する場所がないことから、正式にマラソンチケットは販売しないこととなった。組織委は札幌移転にかかる増加費用は今後精査し、これまで通り、IOCにも負担を求めていくと同理事会で主張した。【三須一紀】