室内の日本一を決める舞台で、計4人がスタート時に失格するという異例の事態が発生した。

男子60メートル障害決勝。緊張感が漂う中、号砲が鳴った。その直後。再びピストル音が鳴り響いた。

ともに元日本記録保持者の金井大旺(ミズノ)と泉谷駿介(順大)に加え、和戸達哉(麗沢瑞浪AC)の3人が失格。5レーンから7レーンが不在になった状態で仕切り直し。今度は野本周成(愛媛陸協)が不正スタートの判定を受けた。 人間が音を聞いてから反応するまで最短で0秒100かかるという医学的な根拠に基づき、号砲への反応速度は0秒100未満がフライングとなる。4人はいずれも機械の判定によって、0秒100未満の反応による失格とされた。号砲への反応は泉谷が0秒087、金井と和戸が0秒099、野本は0秒097だった。

8人で争うはずが、4人になったレースを7秒69で優勝した石川周平(富士通)は「優勝でうれしい気持ちと、決勝は半分になって思っていたレースではなかった。ちょっと複雑というのが正直な心境」と話した。予選では7秒61の日本新記録を樹立も、決勝は1000分の1秒差で失格となった金井は「悔しい気持ちでいっぱい」。金井は昨年6月の日本選手権に続き、0秒099の反応による失格だった。「フライングが続いている。今度はならないように直していきたい」と語った。

レース後、ルールに則って、順大らが審判団へ抗議したが、認められなかった。同大会は格付けの高く、東京五輪の出場権に関わる世界ランキングのポイントを多く獲得できる大会だった。新型コロナウイルスによる肺炎患者の拡大を受け、多くのポイントを獲得できるチャンスだったアジア室内選手権、世界室内選手権が中止になったこともあり、重要な大会と位置付けていた選手も多かった。