陸上女子短距離で昨年の日本選手権女子100メートルを制した御家瀬緑(19=住友電工、恵庭北)が社会人デビュー戦を心待ちにする。今季初戦は8月23日のセイコーゴールデングランプリ東京(セイコーGGP、国立競技場)を予定。新社会人のスタートは新型コロナウイルスの影響を受けたが、コロナ禍での競技への取り組みや東京での生活、1年延期された東京オリンピック(五輪)への思いを語った。【構成・浅水友輝】

-今季初戦はセイコーGGPを予定。社会人デビュー戦の目標は

御家瀬 自己ベスト(11秒46)くらいの良い走りができればいいなと思っています。徐々に良い感覚をつかんでいって、(2連覇を目指す10月の)日本選手権で一番良い走りができるように調整していきたい。今季は11秒4を切るタイムを目指します。

-現在のコンディションは

御家瀬 昨秋痛めた部分(右足甲の痛み)は完治してます。冬期は走れていない期間が長かったので、最初は体の動きが鈍かったのですが、今は徐々に戻ってきている状況です。

-コロナ禍でスタートした新社会人生活。1人暮らしの生活や仕事は

御家瀬 食事は自炊をしているので、献立を考える際に栄養バランスを気にした結果、1食の品数が多くなってしまい食べ切れないことが多々ありました。そこから1食だけで考えるのではなく、1日トータルで栄養バランスを考えなければいけない難しさを学びました。仕事は(コロナの影響で)入社式に参加できず、あまり会社にも行けてませんが、社内に陸上競技の活動を応援してくださる方が多いことを知りうれしかったです。

-東京での生活も約4カ月がたった。北海道を離れて感じることは

御家瀬 最近、母の手料理と地元のラーメンが食べたくなってきました。

-実業団選手として1年目。現在の練習は

御家瀬 (自粛期間は)自宅では簡単な筋トレを行っていました。外出制限が解除された後は、少しずつスピードを出す練習が増えました。しばらくの間、まともなところで走れていなかったので、いきなりスピードを出さないように気をつけました。高校時代は週6日の練習でしたが、こちらでは週5日になりました。練習は以前よりタイム設定をすることが多くなったので、だいぶ自分の走りをコントロールできるようになりました。

-18年にはアジア大会の400メートルリレーで日本代表も経験。1年延期になった東京五輪出場の可能性と思いは

御家瀬 出場できる可能性は正直よく分かりませんが、1年延長になったことでその可能性が高まったのは確かだと思います。個人種目で出場できるほどの力があればリレーで戦えると思うので、五輪までの約1年間でできる限りのことをやって力をつけていきたいと思います。

<御家瀬アラカルト>

◆プロフィル 2001年(平13)6月2日、札幌市生まれ。家族は両親と兄、姉

◆小学校 札幌太平南小2で競技を始め、6年から北海道ハイテクACジュニアに所属。同年の全国小学女子走り幅跳びで優勝

◆中学 札幌太平中では3年連続全国中学出場。ジュニア五輪では走り幅跳びで1年時に優勝、2年時は2位、3年時は100メートルで6位

◆高校 北海道ハイテクACの中村宏之監督が指導する恵庭北に進学。1年時の総体は出場人数の関係で走り幅跳び、400メートルリレーのみに出場しリレーで3位。同年国体で100メートル、走り幅跳びの2冠。2年時には初出場の日本選手権100メートルで4位に入り、アジア大会(ジャカルタ)日本代表に選出、総体100メートルで初優勝。3年時には日本選手権100メートルで29年ぶり高校生女王になると、総体は北海道勢では同種目初の2連覇を達成。同年9月の北海道ハイテクAC杯で出した11秒46の自己記録は、12年ロンドン五輪代表の土井杏南(JAL)に次ぐ高校女子歴代2位。