タイソン・ゲイ(27=米国)が、絶好調のまま日本に乗り込んできた。9秒71で銀メダルだった世界選手権男子100メートル後、欧州を転戦。20日に上海で2・0メートルの追い風に乗り、9秒69の自己ベストをマークした。今回は時差調整も必要なく、好記録が期待できる。「コンディションはとてもいい。シーズンが長くて、少し疲れているけど、いいレースをしたい」と抱負を述べた。

 07年世界選手権で短距離3冠のゲイも、08年北京五輪、09年世界選手権ともボルトに主役の座を奪われた。おどけたり、派手なポーズを取ったりする世界記録保持者に対し、ゲイは控えめ。「ウサイン(ボルト)との違いは、彼が若く、僕は少し年齢が上だから。レースの後は、いい記録が出ても、疲れてパフォーマンスができないんだ。でも、世界記録を出した時は、ウイニングランをしたい」と、大人の目線で語った。

 ボルトの9秒58は、まだ遠い。ライバル意識は強く、ジャマイカ勢躍進の理由については「ダンスをよくやるからじゃないか」と受け流す。「最終的には世界記録の更新が目標。今は彼がベストだけど、いつも私はそれに向かって励んでいます」。23日のレースも、無駄にはしない。