まだ、歴史的瞬間に立ち会った実感が湧きません。英樹には驚かされてばかりです。予選の36ホールで19バーディー。考えられない数字です。3日目の朝、リッキー(ファウラー)のキャディーにも「どうやって取ったんだ?」と信じられない様子で聞かれました。

 パターは9月のツアー選手権から良かったのですが、はまればこんなに入るのかと思ったくらいです。大舞台の優勝争いでクラッチパット(勝負どころのパット)を決め続けたハートの強さがすごい。さらに、ツアー選手権とCIMBクラシックはバミューダ、日本オープンとこの試合はベントと、いろんな芝に対応してきました。PGAツアーの3年間でスキルアップした部分だと思います。

 隙を見せませんでした。第3ラウンドの18番、僕はレイアップを勧めました。右は池、左には寄らないバンカーで、風は池に向かうアゲンスト。でも、英樹は自信があったんでしょう。「いく」と。最高のショットで2オンしました。決勝ラウンドで同じ組のノックスなんかは、ずっと目の前でいいプレーを見せられて重圧がかかったと思います。その結果が、7打差の優勝ではないでしょうか。

 いいプレーをすれば、世界の大舞台でも勝てる。あらためて確信の持てる試合でした。メジャーでもいつも以上のことをしようとせず、ベストのプレーをすることに集中すれば、結果はついてくると思います。(2016年10月31日付紙面掲載)