アマチュアゴルファーにとって90切りは上級者への第1歩。調子が良ければ70台も出るけど、悪い時は100近く打ってしまう。そんな方もいるはず。安定して80台を出すのは上級者の証し。そのためのヒントを2年連続賞金王の今平周吾(28)が教えてくれるのが新連載「ゴルフステップアップ 今平周吾 賞金王の技」。元ロッテ捕手で現在本紙評論家の里崎智也氏(44)を生徒役にヒントを伝授していきます。第1回は対談です。(以下敬称略)

今平周吾(左)と元プロ野球・ロッテ捕手で本紙評論家の里崎智也氏
今平周吾(左)と元プロ野球・ロッテ捕手で本紙評論家の里崎智也氏

今平の武器は165センチと小柄ながら平均飛距離292・93ヤードの飛距離とパーキープ率1位、パーオン率2位(すべて19年)と国内男子ツアー最高レベルの安定感だ。生徒役となる里崎はアベ85の腕前だが「もっとうまくなりたい!」という。

-アベ80台を目指し、良ければ70台も出せるレベルを目指すアマチュアにとって重要なことは

今平 スコアを縮めるのはショートゲーム。あとは曲げないことですね。

-アマチュアはどうしても曲げてしまう

里崎 野球選手の曲がりはすごいですよ(笑い)。隣の隣まで行きますから。普通のアマチュアよりも飛ばせる分、曲がるとけがも大きい。

今平 飛距離が出なくても、しっかりフェアウエーキープ、もしくはコース内に収めるのが大事ですね。

-里崎さんの具体的な悩みは

里崎 ドライバーを曲げずに飛ばしたい。アイアンは精度を上げたいのと、あとはやっぱりアプローチとパター…って全部か(笑い)。安定性とか正確性とか、日によってブレ幅が大きい。悪くても悪いなりのゴルフをするためにどうしたらいいか、ブレ幅を少なくするためのショットを身に付けたい。

-里崎さんがステップアップするためには何が必要ですか

今平 曲げないことは心掛けていらっしゃるので、そのまま継続していただき、あとはショートゲームがうまくなっていけばスコアアップしていけると思います。

-プロでも調子の波はあると思いますが、どんな風に調整していますか

今平 調子が良いときはピンをどんどん狙うけど、悪い時はやっぱり普段より曲がるので、グリーンセンターを狙うようにしています。そうしていると、意外とパターが入っていいスコアになることもあります。そうやって切り替えています。

里崎 例えば試合で優勝を狙えない位置にいることもありますよね。その時のモチベーションはどう切り替えますか?

今平 優勝できなくてもトップ10や15に入ろうと考えてやってます。その辺りなら結構賞金も加算されますから。

里崎 その折り合いの付け方のうまさが、連続賞金王の要因ですよね。狙い過ぎるとリスクもある。そうなると年間トータルでは難しくなっちゃいますよね。

-無謀な勝負はしないタイプかと思いますが

今平 そうかもしれません。安定していい成績を出したいという思いはあります。

-アマチュアゴルファーのメンタル面について、アドバイスはありますか

今平 アマチュアの人はナイスショットのイメージが強過ぎるような気がします。例えば低くて真っすぐ行っている球でもミスショットみたいな感じですけど、前に行ってコース内にあればいいんじゃないかなって思います。その方がメンタルも楽だと思います。例えばショートパットでも「入れたい」ではなくて、少しどうでもいいみたいなアバウトな意識もあります。

里崎 確かに、トリとかたたいて「もういいや」とか思うと、パターが入ったりはよくある。適当に打った方が入るなって(笑い)。

-アマチュアはたまたま出たナイスショットを自分の100点のイメージで作ってしまいがちです。悪い時のショットを下限にして、そこからプラスしていく方がメンタルにもいいですか

今平 そう思います。ダフリやチョロはミスですけど、しっかりフェースに当たって前に行って、それがコース内にあればOKくらいでいいと思います。

里崎氏(右)にレッスンする今平
里崎氏(右)にレッスンする今平

◆今平周吾(いまひら・しゅうご)1992年(平4)10月2日、埼玉県生まれ。08年埼玉栄高校1年時、松山英樹らを抑え日本ジュニアで優勝。翌年高校を中退して渡米、IMGゴルフアカデミーで2年間腕を磨く。帰国後、11年にプロ転向。チャレンジツアー賞金王の資格で出場した15年シーズンに初シード獲得。17年「関西オープン」で初優勝、現在ツアー4勝。マスターズに2年連続出場。昨年初の予選突破を果たし、イーブンパー44位タイ。165センチ、67キロ。

◆里崎智也(さとざき・ともや)1976年(昭51)5月20日、徳島県生まれ。鳴門工(現鳴門渦潮)-帝京大を経て、98年ロッテを逆指名しドラフト2位で入団。06年第1回WBCで優勝した王ジャパンの正捕手として活躍。08年北京オリンピック(五輪)出場。06、07年ベストナインとゴールデングラブ賞。オールスター出場7度。実働15年で通算1089試合、3476打数890安打(打率2割5分6厘)、108本塁打、458打点。14年に引退、15年から本紙解説者に就任。19年には自身のYouTubeチャンネルを開設、登録者数は約42・2万人(21年3月現在)。175センチ、94キロ。

◆取材協力=飯能グリーンカントリークラブ(埼玉・飯能市) 秩父、奥多摩の山の景観が楽しめる、ティーグラウンドからほぼピンが見えるフラットでオーソドックスなコース。200ヤードのドライビングレンジや30ヤードのアプローチ、バンカー練習の付帯施設も充実している。

関谷達之支配人は「東京から近いのですが緑が多く、鳥のさえずりを楽しみながらプレーできます」と魅力を話す。西武池袋線飯能駅からクラブバスで約15分。狭山日高インターから15分。