2年連続賞金王の今平周吾（28）が、アベ80台を目指すアマチュアゴルファーにヒントを伝授する「ゴルフステップアップ　今平周吾　賞金王の技」。元ロッテ捕手で現在本紙評論家の里崎智也氏（44）を生徒役に、今より1歩上を目指すアマチュアにアドバイスを送ります。今回は基礎編として、アドレスを紹介します。（以下敬称略）

アドレスで左肩を意識する今平

「アドレスはスクエアに構える」。どんなゴルファーでも必ず耳にする言葉だろう。また、「自分はスクエアに構えられている」と思っているアマチュアゴルファーも多いはず。でも、ちょっと待った！　本当にスクエアに構えられていますか？　右利きの場合、多くのアマチュアゴルファーが「右を向きやすい」と言われています。プロでさえ調子が悪いときは右を向いているという話もありますが、その調整法を知っているのがプロたるゆえん。では、今平はどうやってスクエアに構えているのだろうか？

今平　左肩で合わせていますね。目標がピンだとしたら目線はピンで、肩が開かないように左肩を意識しています。クラブのフェースを合わせるときも、右手で合わせると右肩が出やすくなってしまいます。右肩がかぶりやすい人は、左手で合わせた方が確実だと思います。その上で左肩が開かないように意識すれば、スクエアに構えられると思いますよ。

右利きの方が右を向きやすい要因には、目の構造上の問題もある。人間の目は目標を正対して見ることで把握する構造になっている。それを横から見るため、右を向きやすくなってしまうのだ。これを解決してくれるのが、今平の目標の見方だ。

今平　目標に顔を向けるのではなく、首の位置を変えず、軸をキープしたまま目標を見ると肩が開きにくくなります。構えた状態で頭を上げて目標を見ると肩が開いてしまいます。

「アマチュアゴルファーの7割がスライサー」という説もあるが、これはアドレスに主たる原因があるのかもしれない。

今平　肩が開いている人が多いように思います。肩がかぶっている人はあまり見たことがない。右肩が出ている人が多く、そうなるとアウトサイドインにしか振れないので、スライスしか出ないですね。

では、里崎のアドレスはどうだろうか？

今平　きれいに構えられていると思います。直すところはありません。持ち球がフェードと聞いていて、その通りの球が出そうだと思ったけど、（実際に打つと）左に打ち出してからのドロー。プロ野球選手ならではのリストの強さですね。

里崎（右）のアドレスをチェックする今平

アドレスで100点満点をもらった里崎だが、コースのワナについても言及した。

里崎　ティーマークの向きにもだまされる。ティーマークが右を向いていることに気付かずそのまま構えてしまって、右にドーンなんてこともありますよね（笑い）。

上級者への第1歩は、やはり基本をおろそかにしないことだ。

今平　グリップとアドレスでほぼほぼ出球は決まると思います。

もう1度、確認してみよう。

◆今平周吾（いまひら・しゅうご）1992年（平4）10月2日、埼玉県生まれ。08年埼玉栄高校1年時、松山英樹らを抑え日本ジュニアで優勝。翌年高校を中退して渡米、IMGゴルフアカデミーで2年間腕を磨く。帰国後、11年にプロ転向。チャレンジツアー賞金王の資格で出場した15年シーズンに初シード獲得。17年「関西オープン」で初優勝、現在ツアー4勝。マスターズに2年連続出場。昨年初の予選突破を果たし、イーブンパー44位タイ。165センチ、67キロ。

◆里崎智也（さとざき・ともや）1976年（昭51）5月20日、徳島県生まれ。鳴門工（現鳴門渦潮）－帝京大を経て、98年ロッテを逆指名しドラフト2位で入団。06年第1回WBCで優勝した王ジャパンの正捕手として活躍。08年北京五輪出場。06、07年ベストナインとゴールデングラブ賞。オールスター出場7度。実働15年で通算1089試合、3476打数890安打（打率2割5分6厘）、108本塁打、458打点。14年に引退、15年から本紙解説者に就任。19年には自身のYouTubeチャンネルを開設、登録者数は約42・2万人（21年3月現在）。175センチ、94キロ。