2年連続賞金王の今平周吾（28）が、アベ80台を目指すアマチュアゴルファーにヒントを伝授する「ゴルフステップアップ　今平周吾　賞金王の技」。元ロッテ捕手で現在本紙評論家の里崎智也氏（45）を生徒役に、今より1歩上を目指すアマチュアにアドバイスを送ります。今回はドライバー編として、ワンランク上を目指すための練習方法とヒントを紹介します。（以下敬称略）

　◇　　◇　　◇

持ち球はフェード系だが逆球の引っ掛けからのフックに悩み、曲がるが故に強振できなかった里崎。今平の「右足をボール1～2個分引く」「テークバックのときに左手の甲が下を向くような意識で引く」の2つのアドバイスで、見違えるようなストレートボールと280ヤードの飛距離を手に入れた。

里崎　アマチュアゴルファーがもっと飛ばしたいときに効果的な練習方法ってありますか？

今平　これは難しい話になってしまいますが、下半身は伸びる動きをするけど、上半身は縮む動きができるとヘッドが走ります。左足は伸びるけど、上半身は下に向かうような、相反するイメージです。

里崎　ん～、見た方が分かりやすいかも。「百聞は一見にしかず」っていいますからね。デモを披露しつつ、ポイントを解説。

左足は地面を踏み込むように膝を伸ばす。胸は下を向くように

上体が起き上がってしまう悪い事例

今平　左足は地面を踏み込むようにして膝を伸ばすけど、そこで上体が起き上がってしまうと力が逃げてしまいます。胸を下に向けて、左膝を伸ばすイメージですね。

早速挑戦するが、里崎をもってしても出球がばらけた。

里崎　これは難しい。考えることが多すぎるし、無駄に、上体に力が入ってしまう。2つのアドバイスでいい感じになったばかりなのに（笑い）。

今平　形はできていますが、まだパワーが乗り切れていません。野球にはこんな動きはありますか？

里崎　そもそも野球のバッティングは打ったあとに体が開くんです。体を開きながらヘッドを残して振り抜く。ゴルフ的にはスライスの動きだけど、野球はスライスすると良いバッティングなんです。ゴルフは、さらに当てに行く動きが加わるので、そりゃ～隣の隣まで曲がりますよね（笑い）。

野球のスイングを披露する里崎氏

飛距離を出す上で重要なのは芯で捉えること。だがこれはプロでも難しいという。

今平　これが一番難しい（笑い）。芯に当てようとするとすごく難しくなるので、まずはフェースにしっかり当てることが大事。ドライバーならスイートエリア、アイアンならスコアラインのある部分に当てられればOK。1点ではなくゾーンに当てることを意識すれば、余裕をもって打てると思います。今のクラブはフェースに当たれば距離が出るようになっているので。

普段の練習でどんなことを心掛けているのだろうか。

今平　僕は練習器具を使わないので、ひたすら頭でイメージしたものをスイングするだけです。

アマチュアへのメッセージとして、「基本が大切」を強調した。

今平　スコアを出す上で重要なのは曲げないこと。そのためには、やはりグリップやアドレスなど、基本的なことが大切です。

その上でクローズドスタンスをあげた。

今平　里崎さんもそうだけど、アマチュアゴルファーは左肩が入っていない人が多い。左肩を入れるためのクローズドスタンスですが、それ以外にも利点があります。テークバックでアップライトになりにくいし、インサイドにも引きやすく、左側の壁もできやすい。でも、やり過ぎは注意です。練習でどれくらいでどうなるのかを確認しておけば、コースでミスしても、次に対処できます。

◆里崎智也（さとざき・ともや）　1976年（昭51）5月20日、徳島県生まれ。鳴門工（現鳴門渦潮）－帝京大を経て、98年ロッテにドラフト2位で入団。06年第1回WBCで優勝した王ジャパンの正捕手として活躍。06、07年ベストナインとゴールデングラブ賞。オールスター出場7度。実働15年で通算1089試合、890安打、108本塁打、458打点。14年に引退、15年から本紙解説者に就任。175センチ、94キロ。

◆今平周吾（いまひら・しゅうご）　1992年（平4）10月2日、埼玉県生まれ。08年埼玉栄高校1年時、松山英樹らを抑え日本ジュニアで優勝。11年にプロ転向。チャレンジツアー賞金王の資格で出場した15年シーズンに初シード獲得。17年「関西オープン」で初優勝、現在ツアー4勝。マスターズに2年連続出場。昨年初の予選突破を果たし、イーブンパー44位タイ。165センチ、67キロ。