今平周吾(29=ダイヤ)の技を伝授された生徒役、元ロッテ捕手で本紙評論家の里崎智也氏(45)が先生に挑戦! 埼玉・飯能グリーンカントリークラブのアウトコース9ホールを舞台にしたマッチプレーで開催。ハンディとして今平プロは各ホールのスタート時にクジで引いた3本のみの使用で、同スコアなら里崎氏の勝利。さらに、3番終わりで特別ルールを付加するも、状況は今平の3UP。しかも、この6番で我々は、2年連続賞金王の発想のすごさを目の当たりにする。対戦内容はもちろん、技術やメンタル面のヒントを紹介します。(以下敬称略)
6番は339ヤードパー4。短いミドルだが砲台グリーンなのでセカンドの距離感が難しい。ここを今平が取ると勝負が決まるアップドーミーホールだが、ここでまたもや里崎が動いた。
里崎 ちょっと、僕が引いてもいいですか? プロは引きが強すぎるから!
里崎が引いたのはパターと4番アイアン。
里崎 ん~、ここで大きめがいいな。ドライバー引け!
里崎は見事ドライバーを引き、有言実行となった。
今平 ドライバーでティーショットを打ったら60度のアプローチになるので、ロングアイアンしかないのはちょっと難しいですね。
そんな今平のドライバーティーショットが珍しく乱れた。プッシュアウトからのスライスで右の林方向。
今平 右は大丈夫ですか?
キャディーさんの「セーフですが打ち上げになります」に苦笑した。思わぬチャンスとなった里崎はドライバーティーショットだったが、これは低い弾道のフックで左ラフ。
里崎 プロのショットが見ものですよね。4番アイアンかパターしかない。しかも、そこで4番使ったら、次はドライバーとパターですからね。
今平 きついですね。バンカーに入ったらやばいです。
里崎の2打目は残り120ヤード。
里崎 木が邪魔なので、ここは花道に1回出します。プロのクラブだとパーは無理だと思うので、僕は安全にパー狙いでいきます。
里崎の7番アイアン脱出ショットは宣言通り花道。
里崎 これでOK。プロがあり得ないショットをされたらお手上げですけど。
今平の2打目は右サイドで残り50ヤード。膝まで草が生い茂るつま先下がりの傾斜地だった。
今平 4番アイアンで、できるだけグリーンの近くまで打っていきたい。
今平のショットは草に引っ掛かったのか、狙い以上に左へ飛び出した。今平の口から「やばい!」が飛び出すほどだった。結果はグリーン右バンカー手前のラフ。
里崎の3打目は残り75ヤード。
里崎 これはもう58度で上からドンですが、乗ればOK。スコアではなく、勝てばいいので!
これを里崎はピン右5メートルへとつけた。
今平の状況はバンカー越え残り35ヤードだが、使えるクラブはドライバーとパター。ここで今平が手にしたのはパターだった。
今平 どんな球が出るか分からないけど、ふわっと上げていきたいです。
パターでふわっと上げる? 最もロフト角が少ないパターでふわっと上げる発想は、普通のゴルファーならどう転んでも思い付かないだろう。さらに今平のパターはヘッドが大きいネオマレットタイプだ。そのパターを開き気味に構え、アプローチの感じで打ったように見えたショットは、狙いよりも右に飛び出したが、バンカーを越えグリーン奥のラフだった。どんな風に打ったのか解説を求めたが…。
今平 思い付きなので説明できません(笑い)。
今平の4打目はピンまで18メートル。4番アイアンの転がし寄せをピン手前2メートルにつけた。里崎は5メートルパーパットで、上りの軽いフック。
里崎 ここは2パットで勝ちなので、とにかく寄せます。
里崎のパーパットはわずかにカップ左。今平はこれをコンシード(OKパット)すると、自分のボールもピックアップした。
里崎 ここはくじ引きの勝利ですが、あんなスーパーショットが出るとはね。でも、僕はここからずっと負けられないので、くじ引きで頑張ります!
6番を里崎が取って今平2UPとしたが、里崎はここから1ホールも負けられない勝負となった。奇跡は起こるのか?
◆取材・構成=川田和博
◆撮影=鈴木正人
◆協力=飯能グリーンCC(埼玉)