今平周吾(29=ダイヤ)の技を伝授された生徒役、元ロッテ捕手で現在本紙評論家の里崎智也氏(45)が先生に挑戦! 埼玉・飯能グリーンカントリークラブのアウトコース9ホールを舞台にしたマッチプレーで開催。ハンディとして今平プロは各ホールのスタート時にクジで引いた3本のみの使用で、同スコアなら里崎氏の勝利。さらに里崎氏はいくつか特別ルールを追加するも、6番終わりで今平プロの3UP。この7番は里崎氏が落とすと勝負がつくアップドーミーとなった。里崎氏の作戦は? 対戦内容はもちろん、技術やメンタル面のヒントを紹介します。(以下敬称略)
里崎の追加ハンディにより、今平が使用可能なクラブは「3番ウッド」「7&9番アイアン」「ピッチング&52度ウエッジ」の5本。今平の引きの強さから、里崎は6番で「僕が引きます」と宣言。ここ7番でも「もちろん僕が引きますから」と当然のごとくボックスへと手を入れた。
里崎 ここから勝負が始まっていますから! スプーン(3番ウッド)は引きたくない。やめて!
気合を入れたが、里崎が引いたのはスプーンだった。その後はピッチング&52度ウエッジ。
里崎 これはチャンスありますね!
いちるの望みに、思わず笑みがこぼれた。
7番は543ヤードパー5。ほぼストレートだが右が斜面。落とすとパーセーブが難しくなるホールだ。
今平 右が崖になっているので、気持ち左めを狙っていきたいと思います。
ティーイングエリアのセンターよりもやや左からフェード系を意識したスプーンティーショットはフェアウエー右。一方ドライバーを手にした里崎は…。
里崎 真っすぐ。奥のバンカー一直線で狙います。
これはいい当たりだったが左ラフ。
里崎 僕はもう負けられないので、ついていくしかないです。
里崎の2打目は残り260ヤード。つま先下がりのラフで19度ユーティリティーを手にした。
里崎 サブグリーン方向でバンカーには入れないよう打ちます。
里崎こん身の1打は低めの弾道だったがナイスショット。
里崎 僕はもう出来ることをやってパーを取るしかない。ここからのプロが見ものですね。
今平の2打目は残り230ヤード。ピッチングを手に、気持ちクローズドスタンスに構えるとフックを打った。
今平 距離を稼ぎたかったので、ちょっとロフトが立つようにして打ちました。
結果は左ラフだったが…。
里崎 あれ、これって普通じゃない。だって52度でピッタリじゃないの? もう自分で頑張るしかないですね(笑い)。
里崎の3打目は残り130ヤード。
里崎 もう突っ込んでいくしかない。ピッチングでいきます。
そう放ったショットはピン筋だったが、アドレナリンが出過ぎかグリーンを越えて奥のバンカーだった。
今平の3打目は残り90ヤードややつま先下がりのラフ。
里崎 もう普通に52度ですよね?
今平 そうですね…(笑い)。
この1打を放った瞬間「GO!」の言葉が出たが、結果はピン手前5メートルにオンだった。
里崎 全然普通だった!
そんな里崎の4打目は奥のバンカーからピンまで26ヤード。入念な素振りでイメージを作り、薄く砂を取った素晴らしいバンカーショットだったが、キャリーがピンまで出てしまい、スピンがかからずランも出てピンを4メートルオーバーだった。
里崎 俺の腕なら今のは最高だね。
今平も「良いショットでした」と賛辞を贈った。
だが、幕切れは突然やってきた。ストレートラインとはいえ、5メートルのバーディーパット。2年連続賞金王はこれを難なく沈め、バーディーで終止符を打った。
里崎 ナイスバーディーです。むしろ気持ちいいですよ!
そう言うとパーパットに挑戦するが、わずかにカップ右を通過。これをピックアップした。
これでマッチの決着はついたが、ここでまた里崎が動いた。
里崎 ここから泣きの2ホールで僕が1つ取ったら2アップでお願いします。
今平 あっ、えっ、面白いと思います(笑い)。
対戦は4&2で今平の勝ちとなった。里崎は引きも含め賞金王の“強さ”を存分に感じたはず。そしてエキストラホールへと続くのだった。
◆取材・構成=川田和博
◆撮影=鈴木正人
◆協力=飯能グリーンカントリークラブ(埼玉)