黄金世代の実力派女子プロゴルファー大里桃子(24=伊藤園)が100切りを達成し、アベレージ90台を目指すアマチュアゴルファーにヒントを伝授するゴルフレッスン「『ちゃんもも先生』目指せアベ『90』台」。大里プロの技を、マネジメントを手がけるスポーツインダストリーのゴルフスクールダイレクター新井真一プロ(58)が分かりやすく解説します。今回はウエッジ編として「傾斜地からのアプローチ」について、お届けします。(以下、敬称略)

大里桃子プロ
大里桃子プロ

アマチュアゴルファーにとって、練習する機会が圧倒的に少ないと思われるのが、傾斜地からのアプローチだろう。もちろん、練習は必要だが、状況によってどんな球が出やすいのか、また、どんなミスをしやすいかを理解しておくことも重要となるはずだ。

新井 傾斜には左足下がり&上がり、つま先下がり&上がりがありますが、大里プロが考える難しい状況は?

大里 つま先下がりと左足下がりは難しいですね。

新井 つま先下がりだと、どうしてもクラブが届かない感じになってしまいますよね。

複合する傾斜地もあるが、今回はそれぞれ単体の場合の対処法を披露してもらった。まずは左足下がりのラフでピンまで約15ヤード。ラフ越え約5ヤードのキャリーで、グリーンの傾斜はやや下り。

新井 このような状況で注意点は?

大里 まずはグリーンに乗せること。ラフからなのでランも出るし、グリーンも下りなので止めづらい要素ばかりです。また、ロフトがつきやすいので、思った以上にキャリーが出てしまうこともあります。その場合、私は振り幅で調整しています。

実際のデモでは、ラフを越えるギリギリに落とし、後はランでトロトロと寄せた。

新井 ボールが止まりにくいので、落とし場所をしっかり決めて、そこに落とすことに集中することが重要ですね。

左足下がりのアプローチショット:まずはグリーンオン、振り幅で調整
左足下がりのアプローチショット:まずはグリーンオン、振り幅で調整

続いては、左足上がりからのラフで、状況はほぼ同様だ。

新井 気を付ける点は?

大里 ボールが上がりやすいので、キャリーが出やすいことですね。飛びすぎ注意です。

新井 ボールの位置は?

大里 普通に構えてもボールが上がりやすくなるので…

新井 左足寄りには置かないということですね。

実際のデモでは、左足下がりの時よりも2~3ヤードキャリーが増えたが、着弾後はトロトロでピン手前で止まった。

左足上がりのアプローチショット:ボールは左足寄りには置かず、飛びすぎ注意
左足上がりのアプローチショット:ボールは左足寄りには置かず、飛びすぎ注意

続いてはつま先下がりのラフ。ピンまで約20ヤード、ラフ越えはキャリー約2ヤードで、グリーンはやや下りという状況だ。

大里 クラブのヒール側が地面に当たって、フェースが閉じることもあれば、開いてしまうこともあるので苦手なんです。そうならないように、アドレスに気を使っています。

新井 ボール位置や荷重は?

大里 ボール位置は普通のアプローチとほぼ変わりませんが、ヒールが当たらないようにちょっとだけ近づいています。荷重は傾斜なりですね。

実際のデモはもう少しでカップイン。新井ダイレクターは思わず「全然苦手には見えないですね」と話しかけたほどだった。

つま先下がりのアプローチショット:ヒール当たらないよう少しボールに近づく
つま先下がりのアプローチショット:ヒール当たらないよう少しボールに近づく

最後は、つま先上がりのラフ。状況はピンまで約20ヤードでラフ越えはキャリー約7ヤード、グリーンの傾斜はやや上り。

大里 注意点ですが、ボールが左に出やすいということですね。

新井 左に出やすいということで右を向いて、余計に左に引っかけてしまうアマチュアも多い。

大里 距離が長いほど右を向く必要があると思いますが、これくらいの距離なら1メートルくらいでいいと思います。

新井 フェースは開きますか?

大里 傾斜に逆らわない程度ですね。

新井 荷重は?

大里 傾斜に沿ってでいいと思います。つま先荷重で前かがみになりすぎても、かかと荷重で後傾になりすぎてもよくないです。

つま先上がりのアプローチショット:左に出やすい極端すぎない向き&荷重で
つま先上がりのアプローチショット:左に出やすい極端すぎない向き&荷重で

実際のデモは、キャリーとランが半々のお手本のようなピッチ&ランで、これももう少しでカップインだった。

新井 傾斜からのアプローチで最も注意する点は?

大里 傾斜に逆らわずにアドレスすることですね。しっくりくるところがあるはずなので、そこを見つけてみてください。

◆取材・構成 川田和博

◆撮影 浅見桂子

◆協力 飯能グリーンCC(埼玉)