黄金世代の実力派女子プロゴルファー大里桃子(24=伊藤園)が100切りを達成し、アベレージ90台を目指すアマチュアゴルファーにヒントを伝授するゴルフレッスン「『ちゃんもも先生』目指せアベ『90』台」。大里プロの技を、マネジメントを手がけるスポーツインダストリーのゴルフスクールダイレクター新井真一プロ(58)が分かりやすく解説します。今回はパター編として「何とか入れたい1メートル以内のパットのコツ」について、お届けします。(以下、敬称略)

しっかり方向を合わせて、しっかり打つ
しっかり方向を合わせて、しっかり打つ

100切りを達成し、平均90台を目指すレベルであっても、1メートル以内のショートパットは、何となく「入るだろう」と、漠然とした自信をもっている方も多いのではないだろうか? だが、この1メートル以内のパットこそ厄介だったりする。とあるデータによれば、1メートルのパットを1パットでカップインできる確率は、プロで約95%、アベレージのアマチュアゴルファーは約80%という。これが、2メートルとなると、プロでも約60%、アマチュアゴルファーだと約35%と著しく低下するのだ。「入れごろ、外しごろ」という言葉があるが、アマチュアゴルファーにとっては、これが1メートルとなるのかもしれない。

新井 この距離は確実に沈めたいと思う距離でしょうが、大里プロは何か注意しているポイントはありますか?

大里 私は、1メートルは入らないものと思っています。

新井 なるほど。確かに、入れようと思って体が動いてしまったり、目線がボールを追ってしまったりすると、入るパットも入らなくなりますよね。つまり「入れたい」という気持ちを抑えるわけですね。

大里 入らないものと思って打ったほうが、気持ちも楽です。

新井 そのほうがしっかりとストロークできるということですね。

大里 はい!

実際に、大里プロの1メートル以内のルーティンを披露してもらった。

大里 ロング、ミドルパットと大体同じで、後ろからラインを見て、ラインのイメージが決まったらラインと平行に立って振り幅をイメージして、その振り幅のイメージができたら、迷わず打つだけです。

新井 距離感は?

大里 ん~、さすがに1メートル以内であれば、大体合うのでは…。

新井 そうですね(笑い)。どちらかといえば、しっかり方向を合わせて、あとはしっかり打つということですね。

大里 はい。

新井 仮に曲がるラインだとしたら、タッチはどのようにしていますか?

大里 私はあまりガツンと行けないタイプなので、曲がり幅はしっかり見るほうです。なので、傾斜が強いときはカップを外すことも多いです。

打ち出したい場所にしっかり打ち出すためには正しいセットが必要
打ち出したい場所にしっかり打ち出すためには正しいセットが必要

強めのタッチで打てば曲がり幅が少なくなり、より直線的に狙える。だが、外した場合、大きくオーバーするリスクもはらんでいる。

実際に約1メートルのパッティングを披露してもらったが、カップ直前でフックして外れた。

大里 入りませんでした(笑い)。これがあるから怖いんですよね。みなさんも気を付けましょうね。

新井 ショートパットでもしっかりラインは読んだほうがいい?

大里 そうですね。(最初は)ストレートだと思って打ちましたので。

アマチュアゴルファーがやりがちなミスについて新井プロに聞いた。

新井 多くに見られるのが、カップに目線が行ってしまい、打った後にカップをのぞき込むように体が動いてしまい、右肩が前に出て左に外したり、手で合わせて右に打ち出してしまったりのミスが多いと思います。解決の練習方法としては、左手を右肩に当てて、右肩が前に出ないように意識しての右手1本の片手打ちが効果的です。

ボールに線を引いて合わせるのもよいでしょう
ボールに線を引いて合わせるのもよいでしょう

ショートパットの極意があるとすれば、それは何になるのだろうか?

大里 極意かは分かりませんが、重要なのは、打ち出したい場所にしっかり打ち出すことです。そのためには正しいセットが必要で、これはボールに線を引いて合わせてもいいですし、パターにも線はあると思うので、それに合わせてもいいです。プロアマ等で後ろから見ていても、ラインに対してフェースの向きが違うなと思う人が多いです。1メートルくらいならタッチは合うと思うので、フェースの向きをしっかり合わせて、あとは自分の思った場所に打ち出せれば大丈夫だと思います。

カップに目線
カップに目線
覗き込むよう右肩が前に→外す
覗き込むよう右肩が前に→外す
左手を右肩に当て右手1本の片手打ちの練習が効果的
左手を右肩に当て右手1本の片手打ちの練習が効果的

◆取材・構成 川田和博

◆撮影 浅見桂子

◆協力 飯能グリーンCC(埼玉)