ゴルフレッスン面恒例の対戦企画は、大里桃子プロ（24＝伊藤園）に元広島のプロ野球選手で2021年全日本ミッドアマ8位の実力者、前田智徳氏（51）が挑む。舞台は千葉・グレートアイランド倶楽部インコースのトーナメントティー（3302ヤード）で、ハンディなしの9ホールマッチプレー。MCと解説はスポーツインダストリーゴルフスクールダイレクター新井真一プロ（58）が担当。12番を前田氏が取り、マッチイーブンで迎えた13番。一体どうなるんだ！？（以下、敬称略）

左から前田智徳氏と新井真一プロ、大里桃子プロ

13番は540ヤードパー5。軽い右ドッグレッグで、グリーンは砲台となり、手前左右にガードバンカーが口を開けるロケーション。

新井　このホール、大里プロはどのように攻めますか？

大里　飛ぶ人は（ティーショットを）右から狙って、距離を稼げたら2オンのチャンスもあると思いますが、さすがに私は乗らないので（フェアウエーの）左を狙って3打目勝負になります。

新井　前田さんは右からビッグボールで2オン狙いですよね！

前田　ん～、現状厳しいので左目から10番、11番と同じように狙っていければと思っています。（2オンを狙う）勇気は持ち合わせていません！

大里桃子の第1打

前田智徳の第1打

フェアウエー左のバンカーまでは260ヤード。

前田　やや打ち上げで、寒いですからね。アバウトにいきます。

前田のティーショットは芯を食った。だが、「ねっ、今起き上がりましたよ」の言葉通りややプッシュアウト。キャディーの「枝に当たりました」に「えっ？　木に当たった？　OBですか？」と確認するが、大里は「OBはありません。多分いいところです」と答えた。

大里のティーショットは打った瞬間、新井と前田から「ナイスショット！」の声が上がった。前田からは「きれいな球だ」とため息がもれた。

大里　トーナメントよりもいい球が出た（笑い）

大里桃子の第2打

前田智徳の第2打

大里の第2打はフェアウエー左から残り318ヤード。

新井　どれくらい残すイメージですか？

大里　3番ウッドで200ヤードちょい飛べば残り70～80ヤード。それくらい残ればいいかな。

そういって放ったショットは会心の一撃。前田が「手加減しないんですね」とぼやいたほどだ。

そんな前田のセカンドは右ラフから残り250ヤード。つまり、ティーショットは300ヤードに迫るビッグドライブだった。ライはややつま先上がりで左OBだ。

前田　距離的には届くけど…。スプーンの低い球で（グリーン手前の）バンカーに入ったらバンザイですが、ちゃんもも先生ならスプーンは勧めないですよね？

大里　得意なライだったらありです。

前田のセカンドは前方の木の枝に当たったが、幸いフェアウエーセンターに出てきた。

前田　いい画が撮れたでしょう。こういうのも挟まないとね（笑い）

大里　アドレスがちょっと右を向いていて、木が邪魔にならないかなとは思っていました。でも、イチかバチかの勝負が必要なときもあります。

大里桃子の第3打

前田智徳の第3打

前田の3打目は残り138ヤードで風はフォロー。

新井　何番アイアンですか？

前田　46度です。

新井　えっ、46度？

圧倒的飛距離を誇る前田だったが、このショットは当たりが薄くショート。大里はフェアウエーから残り85ヤード。

大里　あと5ヤード前にいっていれば58度でしたが、50度でいきます。

50度のコントロールショットはピン奥1メートルに付けるスーパーショット。

前田　そんなショットを打たれたら…。

前田のボヤキが加速する。4打目は花道から残り20ヤードだが、身長以上の打ち上げ。

大里桃子の第4打

前田智徳の第4打

前田　プロがあんないい場所に付けたから、もうやりようがないですよ。

60度アプローチは上げるショットを選択。これはイメージ通りに上がり、ピン手前4メートルにオンだったが、本人は不満顔。前田のパーパットは上りストレート読みも、わずかにスライスでカップ脇をかすめた。これをタップインで沈め、ボギーが確定。

大里はピン奥から1メートルのバーディーパットだったが、カップの左を通過し80センチオーバー。「はぁ～」とため息を漏らした。パーパットはキッチリ沈めたが、「格好悪い勝ち方でした」と反省した。

前田智徳の第5打

前田タップインでボギー。大里はパー

13番はパーセーブの大里が取って、マッチは大里1アップ。残り5ホール。前田の反撃はいつだ？

◆前田智徳（まえだ・とものり）1971年（昭46）6月14日、熊本県生まれ。熊本工から89年ドラフト4位で広島入団。91年に外野のレギュラーを獲得し、優勝に貢献。95年5月、右アキレス腱（けん）断裂の大けがも、翌96年開幕戦から戦列復帰。07年に通算2000安打を達成。13年に引退。ベストナイン、ゴールデングラブ賞を各4度受賞。右投げ左打ち。通算2188試合、2119安打、295本塁打、打率3割2厘。現役時代は176センチ、80キロ。