見た目はやんちゃ坊主。4日間を通して取材をしたのは今回が初めてだったが、やはり第一印象はぶっきらぼうで、とっつきにくい感じ。でも、どちらかと言えば、そういう選手は嫌いではない。むしろ、私は好きな方だ。

 10年以上担当したサッカーで、大久保嘉人選手(現東京)はホンモノの悪ガキだった。セレッソ大阪に所属していた20代前半の頃。記者の質問がおもしろくなくて「おい! それで、俺に何て言わせて~んだよ!」と悪態をついた。今ではほとんどの報道陣が「嘉人、嘉人!」と呼んで、愛される存在だが、当時はひどかった。(大久保選手、こんなこと書いてゴメンなさい)

 本田圭佑選手(現パチューカ)だって、あんなに愛想の悪い選手はなかなかいない。(本田選手もゴメンなさい)

 で、誰のことを書きたいのかって?

 そう、そう。10月1日に男子ゴルフツアー、トップ杯東海クラシック最終日で今季初優勝を挙げた小平智選手(28)のことなのです。第1日に取材した時なんて、報道陣の質問にボソッ、ボソッ、と答える感じ。第2日に首位に浮上しても、終盤にボギーを2つたたいたことで「上がりが悪いと気分が悪い」と笑顔は一切なし。

 そこで、やんちゃ坊主が好きな私は「おもしろい選手だな~」と思ったわけなのです。

 そう言えば…。かつて大久保選手も、チームが勝ったのに、自分が得点を奪えなければ「つまらねぇ」なんて言っていたな、と。

 そんな小平選手をつついてみると、やっぱり味のある、いい男だった。優勝会見で、3月に結婚した元賞金女王の古閑美保さん(35)の話題になった時のこと。「僕の方がゴルフはうまい」「お互い仕事に口出しはしない」「男のゴルフのことは美保は分からない」…。なんて話していたが、こんなエピソードを明かしてくれた。

 ある日、11年限りでツアープロは引退している古閑さんが、小平選手にこう言ったそうだ。

 「私も選手時代は周りの人に当たっていたけれど、でも、辞めてから分かることもある。引退してから、その人たちの大切さに気がついた」

 その真意は、2人にしか分からない。

 でも、周囲に誤解されてしまいそうな、決して愛想の良くはない旦那を、少しでも変えてあげたい-。勝利を積み重ねるためには、心の乱れをなくすことが必要なゴルフで、なんとか勝たせてあげたい-。そんな姉さん女房の愛情のようなものが、ひしひしと伝わってくるような気がした。

 トップ杯東海クラシック最終日の観衆は6365人。一方で、同じ日に千葉・我孫子GCで開催された日本女子オープン最終日は1万2362人。公式戦とはいえ人気の高い女子ツアーに、男子は2倍の差をつけられている現実がある。

 米国への夢を抱き「マスターズに出たい」と公言するが、国内ツアーでも小平選手のプレーは見ることができる。

 若いうちはやんちゃで、とがっていてもいいと、私は思う。血気盛んな28歳の勇姿を見に、ぜひ会場に足を運んでみてはいかがでしょう。【益子浩一】