5年ぶりのAO対決。同組のもう1人は、50歳下の新鋭星野だった。伸び盛りの若手に、歴代最多となるツアー通算94勝の実力を見せつけるはずが…。15番パー5で植木にボールが入る不運も重なってトリプルボギーをたたくと、16番でもダブルボギー。歴代2位51勝の青木も最初の1、2番こそパーでしのいだが、3番パー4でトリプルボギーを出すと乱れた。年長記録を更新した74歳も「感覚は覚えているんだけどなぁ。思った以上に、自分の体が動かないんだよ」と首をかしげた。

 それでも4時間56分のプレー中は真剣そのもの。過去10度の直接対決(JGTO発足後)で尾崎8勝、青木2勝としのぎを削った間柄らしく会話もなく熱中した。同組の星野が「あまり話はしていない」と漏らしたほど。時折、尾崎がたばこをくゆらし、15番で青木がどら焼きをたいらげる。そんな時に一言、二言、話す程度だった。

 「年齢でどんどん下手になる。エージシュートもやろうと思ったがダメだった。早合点して引退なんて書いてるヤツ(記者)がいるだろ? 出るには覚悟がいる。やめるにも覚悟がいる」。そう青木が語ると、尾崎も言った。「明日? なんで明日のことが分かるんだよ!」。大勢のギャラリーが見守った2人計144歳の真剣勝負は、どこまでも熱かった。【益子浩一】