宮里藍(32=サントリー)の引退表明後初となるメジャーが開幕した。スタートから2ホールはしぶとくパーを並べたが、グリーンを外した3番パー4で痛恨のダブルボギーをたたいた。序盤でつまずいたものの、これまでもパワー全盛の時代にあって精度と小技で粘り、活路を見いだしてきた。不変のスタイルで通算50度目の大舞台に挑む。

 宮里にとって最後の全米女子プロが幕を開けた。「感傷的になることはない」。引退表明後、何度となく繰り返してきた。それでも、やはりメジャー。「1つ1つが最後なので自分のできることは全部尽くしたい。そういう意味ではプレッシャーはある。また来年、とはならない。そこから来る緊張感かな」と言った。

 開幕前日の練習ラウンド。偶然、昨年優勝のヘンダーソン(カナダ)と回ることになった。「2週前に勝ったばかり。自信を感じるし距離も出る」。1年前の予選ラウンド2日間も同組だった。首位発進した当時18歳の勢い、飛距離…全てに敬意を表した上で言った。「こんな言い方をしたらあれかもしれないですけど、若い子に勝とうと思ってやってるわけじゃない。私は自分のゴルフのレベルをいかに上げていくか、それだけを考えています」。

 自分のゴルフと向き合い続け、迎えた50度目のメジャー。間違いなく痛い序盤のダブルボギーだが、8月の全英リコー女子オープンの出場を引き寄せるために、少しでも賞金を稼がなければいけない現実もある。宮里の1打1打には、誰よりも重い意味が宿っている。