宮里藍(32=サントリー)が、涙で現役生活に別れを告げた。首位と8打差の27位から出た最終日は2バーディー、4ボギーの73で回り、通算1オーバーの214で32位。18番グリーンでは感極まって泣いた。メジャー制覇の夢はかなわなかったが「自分自身にお疲れさまと言いたい」。世界から愛されたプレーヤーが、コースから去った。

 ラストラウンドに臨む藍ちゃんに、別れを惜しむ声が集まった。米ツアーのスー・ウィッター競技委員は「(ルールの裁定で)彼女に不利な答えのこともあったが、必ず冷静に、ありがとうと言う。そんな選手は少ない」と話す。宮里が敬愛した元世界1位のオチョア(メキシコ)らの名を挙げ「同じように品格があった」と評した。

 約10年前、宮里はドライバーのスランプに陥った。同様の不振に悩んでいた元選手のミーガン・フランセラさん(米国)は、宮里から手書きのアドバイスの手紙を受け取った。「他人のために、そんな時間を割く選手はいない」と米国協会のサイトで述べた。感謝を最後に伝えるため今夏、会場に宮里を訪ねたという。キャディーを務めたミック・シーボーン氏は「意見が合わなくても、どんなスランプのときも、僕の立場を尊重してくれた」と証言する。中国から同様に慣れない異国にやってきたフォン・シャンシャンも「新人の頃、いつも声を掛けてくれてとても心強かった」と振り返った。