ツアー初勝利を目指す星野陸也(21)が“神懸かり”で、首位と3打差7位につけた。10位から出て6バーディー、3ボギーの69で回り、通算6アンダーの7位。終盤の16、18番で2度のチップインバーディーを奪い「神ってる」と自画自賛した。初優勝を狙える位置につけ、予選を突破した。

 自画自賛するのもうなずける。確かに星野は神懸かっていた。ツアー屈指の難易度と呼ばれ、難攻不落の16番パー3。縦長グリーンの左に崖、右にはバンカー。その崖につかまり、思わず「アーメン」とつぶやいた。逆境をはね返したのは、それだけの努力があったから。「練習でやっていた。サンドウエッジのワンクッションがベストだった」。信じて打つと、静寂の後に大歓声が湧き起こった。

 それだけで終わらない。最終18番パー4でも、ピンまで12ヤードの位置から再び歓声を浴びた。上がりの3ホールで2度のチップインバーディー。崩れてもおかしくない場面で、逆にスコアを伸ばし「神ってました。決して調子が良くない中でも、いいゴルフができた」とうれしそうに笑った。

 練習日だった26日に同じ茨城出身で名門水城高の大先輩にあたる片山晋呉と初めてラウンド。バンカーからの攻略法を教わった。300ヤードを超える飛距離が持ち味で「飛ばし屋」の異名をとるが、4年間使用したドライバーのヘッドが割れてからは不振が続いた。大先輩の背中がそんな悩みを消してくれた。「見て勉強をしました。今は勉強しかない。とりあえず1勝。早く勝ちたいです」。首位とは3打差。目標に届く日は、近そうだ。【益子浩一】

 ◆星野陸也(ほしの・りくや)1996年(平8)5月12日、茨城・友部町(現笠間市)生まれ。小学1年でゴルフを始め、幼少時から交流のあった石川遼に憧れて本格的に取り組む。茨城・水城高2、3年で関東ジュニア連覇。日大を2年で中退し、16年8月にプロ転向。昨年のQTは2位に7打差をつけてトップ通過した。家族は両親と姉、妹。186センチ、70キロ。