プロ2年目の永井花奈(20=デンソー)がツアー優勝を飾った。荒天のために1時間半の中断から競技中止が決定。前日28日の第2日を終えて通算7アンダー137の単独首位だった永井の初勝利となった。東京・品川育ちの1人っ子が、好サポートを続けてくれた両親に恩返しVを届けた。

 勝利の実感は表彰式でわいた。スピーチで言葉を詰まらせ、両目からあふれる涙を拭いた。最終日中止の優勝に「本当に想定外ですが、すごくうれしいです」。コーチの父利明さん、身の回りのサポートに徹する母裕子さんに向け「父はコーチで移動の運転も。母はいてくれるだけで安心感がある。両親に支えられています」と感謝を伝えた。

 利明さんが楽しそうにゴルフに行く姿にあこがれ、競技開始前となる保育園の卒園アルバムに「プロゴルファーになる」とつづった。約15年間、品川区で和歌山ラーメンが名物の「のりや食堂」を経営した両親のもと、拠点となる栃木県内のゴルフ場を往復しながら技術を磨いた。アマ時代からプロツアーにも出場し「子供を医師にするよりも投資した」(裕子さん)と億単位の資金を投入してもらった。冬の3カ月間は節約の意味もあり、自宅の車庫でアプローチ練習だけを父娘で続ける。「親には苦労をかけている。大変なことをやってきてくれていると思います」。

 毎日5本の50メートルダッシュと、イチローも採用する初動負荷トレも始めて下半身強化し飛距離は約10ヤード伸びた。「まだ親孝行できていない。何勝もできる選手になる」。元ラーメン店の看板娘が大きく羽ばたきはじめた。【藤中栄二】

 ◆永井花奈(ながい・かな)1997年(平9)6月16日、東京・品川区生まれ。6歳から競技開始。12年日刊アマ全日本レディース優勝。14年日本女子オープンで日本人最高位の3位でローアマ。16年7月のプロテストでトップ合格。家族は父と母。155センチ、55キロ。血液型A。

 <永井花奈の使用クラブ>

 ▼1W=ホンマ TW727 455プロト(シャフト=ウィザード 長さ45・75インチ、硬さR、ロフト9・5度)

 ▼3W=同 TW737(15度)

 ▼7W=同 TW727(21度)

 ▼UT=同 TW727(22度、25度)、同 TW717(28度)

 ▼アイアン=同 TWWフォージド(7~10I)

 ▼ウエッジ=同 TWW2(48、52)、同TWW(58度)

 ▼パター=テーラーメイド スパイダー

 ▼ボール タイトリスト プロV1X