背筋が凍るデザインはどうして生まれた? 王鵬の今年の反物は「ホラー柄」
大相撲には、幕内力士や相撲部屋が反物を作り、お中元代わりに贈り合うという文化があります。
三役に復帰した王鵬(26=大嶽)は今年、ホラー柄の反物を作りました。なぜ、このようなデザインに仕上げたのでしょうか? そこには王鵬の考えが詰まっていました。反物の物語を2回、紹介します。
大相撲
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きっかけは琴櫻
力士は外出する際、和装が義務づけられている。夏場になると、浴衣を着る。
幕内力士になると、自分のしこ名が描かれた反物を作ることができる。これはステイタスでもある。
反物を作った幕内力士は、同じ部屋の親方衆、関取衆、若い衆はもちろん、同じ一門や出身校の力士ら、なじみの人たちにこれを贈る。5月の夏場所や、7月の名古屋場所では、支度部屋で手渡している。古くから続く、大相撲ならではの文化だ。
それぞれのデザインには、個性が表れる。必ず意味がある。
今年、王鵬が作った反物は、「ホラー柄」だった。
日本人形や洋風の人形が口を閉じて、じっとこちらをみている。テディベア、ケーキ、懐中時計-。基本的にモノクロだが、赤が特徴的に配色されている。そして、水色で「王鵬」の文字。独特の世界観が広がっていた。
着想のきっかけは、昨年、大関琴櫻からもらった反物だという。
「去年、琴櫻関のを見て、涼しい色、寒色になっていたので、冷たい感じがいいなと思いました。だから、色のベースは、グレーや水色がいい。冷たいのでいきたいと思って、デザイナーと話し合いました」
この王鵬の考えがベースとなり、デザイナーとともに仕上げていったという。
ホラーの理由
「人形があんまり好きじゃない。子どものころ、おもちゃ部屋に人形があって、視線を感じました。それが冷たく感じる。見る人が見たら冷たくて、見る人が見たらかわいい、というのがいい」
細かいこだわりは、随所にちりばめてある。
赤を際立たせるために、一部だけ配色した。
懐中時計が示す時間は、2時14分。デザイン的には長針と短信のバランスが不安定だが、王鵬の誕生日2月14日に合わせた。気付く人もいるという、こだわった点でもある。
本文残り80% (3618文字/4509文字)

1996年入社。特別編集委員室所属。これまでオリンピック、サッカー、大相撲などの取材を担当してきました。X(旧ツイッター)のアカウント@ichiro_SUMOで大相撲情報を発信中。著書に「稽古場物語」「関取になれなかった男たち」(いずれもベースボール・マガジン社)があります。
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