ツアー未勝利の中島徹(33=信濃GC)が、首位発進した。スタートの1番で8メートルのバーディーパットを沈めて勢いに乗った。7バーディー、2ボギーの66で回り、5アンダーで単独首位。13年からフィリピンのツアーを主戦場とする異色の選手で、97年に日本女子アマを2連覇した中島真弓(41)が実姉。「フィリピンと似た環境」という沖縄で、初のツアー優勝を狙う。

 強い日差し、青々と茂る芝、グリーンの感触。中島はつぶやいた。「フィリピンと似ている。グリーンの硬さはそっくりだ」。特にエメラルドグリーンの沖縄の海へとティーショットを放つ10番で、その雰囲気を感じた。12年前に他界した父次人さん(享年56)に連れられ、幼少時代に何度も旅行で訪れたフィリピン。そこを主戦場とするようになったのは13年から。沖縄はまるで“第2の故郷”のような懐かしい香りがした。

 賞金ランク上位を争う小平、宮里優、片山らでさえ、青木功プロが監修した難コースにてこずりスコアを伸ばしきれない。そんな中、水を得た魚のように伸び伸びとプレーした。6番からは4連続バーディー。終わってみれば今年6月の日本ツアー選手権以来、2度目の首位発進だ。今季の国内は15戦目でベスト10は1度もない。初のツアー優勝へ、確かな手応えを得た。

 「満足です。コースに愛されたのかなと思います。3週連続で予選落ちしているけど、今日のような結果が出ればいい方向にいく。試合に出られるのが限られているので、チャンスがあるだけ頑張りたいです」

 フィリピンで知り合った妻綾子さん(35)と、1歳の長女花ちゃんの応援も大きな後押しになった。「パターの練習をしていると、娘がボールを持っていってしまう」と苦笑する。現在は賞金ランク86位。今大会の優勝賞金は4000万円で、勝てば来季への扉が大きく開ける。「シード権争いは楽しくやる」。残り3日。異色のゴルファーが初勝利へ、ひた走る。【益子浩一】

 ◆中島徹(なかじま・とおる)1984年(昭59)6月11日、山梨県生まれ。10歳からゴルフを始める。駿台甲府高から早大スポーツ科学部に進学。07年10月にプロ転向し、08年にツアーデビュー。ツアーベストは今年6月の日本ツアー選手権の12位。175センチ、76キロ。