伊沢利光(49=フリー)が3バーディー、2ボギーの71で回り、通算イーブンパーの144で38位となって今季20試合目で初めて予選を突破した。

 「ようやく。良かったです」と短い言葉に実感がこもった。3番でボギー先行も6番で取り返し、最終18番はこの日取れていなかったロングホールでバーディーフィニッシュ。2日間のスタッツを振り返ると、フェアウエーキープ率39・29%は94位、パーオン率61・11%は72位だった。かつてアーノルド・パーマーが「キング・オブ・スイング」と称賛し、2度の賞金王や01年マスターズ4位など栄光のショットメーカー復活は道半ば。それでも「最初の頃はショットが良くても数字にならないとかいうのがあったけど、ちょっとずつ良くはなってきている」と前進を感じ取っている。

 「生涯獲得賞金25位以内」の資格で本格復帰を果たした今季。「最初は知らない選手ばかり」。すっかり顔触れも変わったツアーで知り合いを探してしまうことも多かったという頃に比べれば、かなりなじんできたと笑ってみせる。「飛ぶ選手が多くなったなって気がしますよね。他の選手と比べて全体的に劣っている部分が多かったですし、その中で自分が何をしていかなければいけないかというのを毎週毎週、試行錯誤と練習で、ちょっとずつ良くなってきたかなという感じですね」と現実を受け止め、愚直な取り組みをやめることはなかった。

 来年3月には50歳になる。シニアツアーの登録も済ませてはいるものの「出るか出ないか、まだ分からないです」。その目は久々の決勝ラウンド、そして来季レギュラーツアーの出場権をかけた次週の最終予選会に向けられている。「今日よりもいいゴルフをして、優勝争いはなかなか難しいでしょうけど、少しでもいいプレーができるように、ちょっと頑張りたいですね」と静かに闘志を燃やす。

 「これからどうなるか。もちろんゴルフは続けていきますけど、でもやっぱり、少しずつ努力して結果が出れば、やっていて良かったなと思うし、またこれから先、こうやって続けていけば、またやれるチャンスはあるのかなと思う」。12年9月のANAオープン以来となる予選通過という確かな1歩。苦しくとも折れなかった心に、新たな活力が注入された。