賞金ランク2位の宮里優作(37=フリー)が1イーグル、3バーディー、ノーボギーの65をマークし、通算7アンダーの203でスンス・ハン(31=米国)と並ぶ首位に浮上した。逆転賞金王には優勝が必須という中、最高の位置で残り18ホールを迎える。賞金ランクトップの小平智(28)は通算6オーバーの24位。タイトルの行方は勝つか負けるか、極限の勝負に委ねられた。

 ショットメーカーの面目躍如だった。14番で宮里優の第2打は上空を横切る電線に当たって打ち直しを余儀なくされた。「いやー、あれ(最初の第2打)は入ってたと思うな。いい球だったんですよ」と笑ったが「でも、2発目もいい球だったんですよね」。ピンそばにつけて難なくバーディー。終始安定していたショットに加え、前日苦しんだパットも「ハンドファースト気味に押していくイメージ」で修正に成功。6番では強めに入ったアプローチがピンに当たってチップインイーグルとなるなど、運も味方に付けた。

 賞金王へ勝つしかないという重圧は「ありました」と、過去形であることを強調する。「退路はだいぶ前に断ちましたので(笑い)。このプレッシャーの中で自分がどこまでいけるか。いい経験をしている」。大会前、父優さんから電話があった。「落ち着いてやりなさい」。原点を思い出し、勝負の18ホールを前にしても泰然としている。

 8月に全英リコー女子オープンの会場で倒れ、闘病が続く父。ホールアウト後、長女に「じいじ(応援に)来るって言ってたよ」と耳打ちされた。記録が残る85年以降では、00年片山晋呉に続くツアー史上2人目のシーズン最終戦Vでの逆転賞金王へ-。最高のフィナーレを飾る。【亀山泰宏】