アーノルド・パーマー以来となる大会史上2人目の3連覇を狙った松山英樹(25=LEXUS)が、無念の棄権となった。前日からの左手親指の痛みが引かず、スタート前に苦渋の決断を下した。回復具合と相談しながら、4月のマスターズ(米ジョージア州)に向けて今後の参戦スケジュールを見直すことも示唆した。試合はリッキー・ファウラー(29)とブライソン・デシャンボー(24=ともに米国)が通算10アンダーでトップに並んだ。

 松山の偉業への挑戦は思わぬ形で幕を閉じた。「プレーした結果がダメならダメで納得もいきますけど、できないのが一番つらい。3連覇がかかってましたけど、それ以上に痛みが勝ってしまった」。ギリギリまで望みを捨てなかった。テークバックでクラブを上げるだけで顔をしかめる状態。軽く打っては飯田光輝トレーナー(40)の治療を受ける。15分ほど繰り返して粘った後、グローブを外した。名残惜しそうに右手で数球打ち、練習中の同組2人に説明して引き揚げた。

 13年末に左手親指の付け根を痛めたことがある。「(今回は)付け根じゃないです。初めての痛み(の出方)。スイングも昨日の時点でおかしくなり始めて、もう無理だった」。前回の付け根を痛めた時に効果のあった方法を含め懸命の治療を行ったが、痛みは引かなかった。「無理してやろうと思ったら、できるかもしれないけど、やってしまったら、たぶん一生ゴルフができないんじゃないかって怖さがある」と言った。

 大目標のマスターズまで残り約2カ月。「マスターズに向けて、次もどうしようか迷ってますし、メキシコもスキップするかもしれない。ベイヒルくらいから出られたら」と日程を見直すことも視野に入れている。次戦ジェネシス・オープン(15日開幕)と世界選手権シリーズのメキシコ選手権(3月1日開幕)を回避し、3月15日からのアーノルド・パーマー招待が復帰戦となる可能性もある。

 まずは痛みの原因を探る。「(いったん)日本に帰るのか、こっち(米国)で検査を受けるのか。チームで考えて、しっかりと判断したい」。世界の頂を目指し、米ツアー本格参戦からノンストップで走り続けてきた。メジャーで勝つために、少しだけ体を休める。【亀山泰宏】