小平智(さとし、28=Admiral)が日本勢5人目となる米ツアー優勝を成し遂げた。6打差12位から7バーディー、2ボギーの66で回り、通算12アンダーの272で並んだ金シウ(22=韓国)とのプレーオフ(PO)を制した。

 子供時代の小平にゴルフの手ほどきをした元レッスンプロの父健一さんは、米ツアー出場15試合目での優勝に「順調過ぎるくらい。こんなに早く勝てるなんて」と感激していた。競技の後、小平からすぐに電話があり、言葉は少なかったが、喜びを分かち合った。「今日は先に上がって(ホールアウトして)プレッシャーが少なかったのかもしれない。ツキもあったと思う」と笑った。

 長年、小平のスイングを見てきた。最近は「リズムがよくなっている」と感じていたという。「今年はシーズンオフがなく、ずっと海外でやっていたから、いい状態で迎えられたのでしょう」。日本ツアーは国内開幕戦が4月で、この時期の日本選手は本調子でないことも多いが、小平は1月からアジアや米ツアーでプレーし、今回が今年8戦目と試合勘なども研ぎ澄まされていた。

 前週のマスターズを健一さんは現地で観戦した。長旅を心配する小平から「ちゃんと病院で体をみてもらって」と促され、チェックを受けてからの渡米。それでもビジネスクラスでの往路で疲れが出た。「しんどいと言ったら、帰りは嫁がファーストクラスを用意してくれて」。しっかり者の美保夫人にも感謝した。オーガスタに立つ息子の姿は「最高でした。最高の舞台でした」。2週連続の親孝行に心底うれしそうだった。【岡田美奈】