男子ゴルフの石川遼(27=CASIO)が並々ならぬ思いで今日22日開幕のホスト大会、カシオ・ワールドオープン(高知)に臨む。

所属契約を結ぶ同社の樫尾和雄会長が今年6月に誤嚥(ごえん)性肺炎のため89歳で亡くなった。21日のプロアマ戦後に「今週は本当に特別な思いを持っている」と胸の内を語った。

温かく、時に厳しい言葉もかけて背中を押し続けてくれた人だった。「一番大事なのは技術」「なぜ世界で通用しないのかをもっと考えた方がいい。なぜだと思うことが大事だ」「既成概念にとらわれるな」。胸に刻んだフレーズがあふれる。大事そうに明かした「ゴルフ界のイノベーター(革新者)になりなさい」というひと言を「自分にとって永遠の宿題なのかな」と、あらためてかみしめた。

今週は追悼のため、キャディーの手首にGショックのロゴが入った黒いラバーバンドが巻かれている。佐藤賢和キャディー(38)が「キャディーも樫尾会長のために何かできることを」と石川に提案し、他選手のキャディーにも相談して回ってくれた。「今週だけ、自分が持っていなかった力を出せるわけじゃない」と冷静に言いつつ、自然と気合はみなぎる。昨年を含めて3度の2位。ホストプロとして、恩人に優勝を見せられなかった無念の思いをぶつける。【亀山泰宏】