畑岡奈紗(20=森ビル)が逆転で今季初勝利、米ツアー通算3勝目を挙げた。首位と1打差2位で出て6バーディー、1ボギーの67で回り、通算18アンダー、270で2位の朴仁妃(韓国)らに3打差をつけた。今季目標に掲げた4日間大会に初優勝し、次週のANAインスピレーションでのメジャー初制覇へ弾みをつけた。野村敏京は7アンダーで23位、上原彩子は1アンダーで55位、横峯さくらはイーブンで59位だった。

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強い奈紗が戻ってきた。前日8バーディーの勢いは最終日になっても止まらなかった。15番で5個目のバーディーを奪い、18アンダーとした瞬間には、優勝を確信したかのようにガッツポーズ。続く16番の池ポチャでボギーをたたいても、すぐ17番でバーディーを取り返す。終わってみれば、実力者たちの追撃に3打差をつける完勝だった。

「やっと自分のゴルフがかみ合った。一打一打、すごく集中できた。やっと自分らしくなった」と納得顔で言った。予選2日間で苦しんだパットが復調。安定したショットとかみ合って、完璧なゴルフを展開した。最終18番でウイニングパットを沈めると、母親の博美さんと、今季メジャー初挑戦の後輩、山口すず夏のウオーターシャワーの祝福。喜びをかみしめた。

スロースターターと言われるが、3月の今季4戦目で初勝利。「このタイミングで勝てたのは自信になる。110点です」。しかも、最終日の相手は世界ランク1位の朴仁妃だった。1番パー4では、3番ウッドで朴のドライバーショットを軽々と越え、1・2メートルのパットを沈めバーディー。1メートルを外した朴に並んだ。続く3番も絶妙なショットで1メートルにつけ、楽々バーディー。あっさりと単独首位に立った。「もうちょっと経験を積んでいけば、私も仁妃みたいな選手になれるかなと思います。なりたいですね」と目標を口にした。

体調は最終日まで良くなかった。せきが続き、最終日前夜も「10時ごろに寝て12時とか、30分ずつぐらいに起きた」という。そんな畑岡を母博美さんはカツカレーで送り出した。「がっつり食べました」とパワーをもらい、最終日を乗り切った。

「こんなに早く勝てると思いませんでした。4日の壁がなかなか破れなかったのでうれしい」。次週にはもう1つの目標であるメジャー制覇へ、ANAインスピレーションに挑む。「選手としては練習してきたことが試合で生きて、こうやって優勝できたのはすごく自信になる。メジャーに向けていい流れで迎えられると思う」と手応えを口にした。

▽母博美さんは優勝の決まった18番グリーンで、ペットボトルの水を娘に掛けて喜びを分かち合った。最終日の朝は、トンカツとチキンカツでカツカレーをつくった。「心掛けているのは普通に送り出すこと。体調が良くなかったから、よく頑張ったと思います」と話した。次週は畑岡の目標でもあるメジャー挑戦となるが「本人はメジャーと思っているかもしれないけど、私の中ではどの試合でも同じ。どんな試合でも勝つことは大事」と話していた。

◆畑岡奈紗(はたおか・なさ)。1999年(平11)1月13日、茨城県笠間市生まれ。母親の影響で11歳でゴルフを始め、15年から世界ジュニア選手権2連覇。17歳だった16年秋に日本女子オープン選手権で史上最年少優勝を果たしプロ転向。17年から米ツアーに挑戦。17年は日本女子オープンで2連覇。18年6月に米ツアー初優勝。名前は米航空宇宙局(NASA)に由来。158センチ