体調不良を抱えながら強行出場する全英女王の渋野日向子(20=RSK山陽放送)が、出場2戦連続で優勝争いに加わった。19位から出て1イーグル、3バーディー、1ボギーの68で回り通算5アンダー。首位と2打差4位で国内ツアー18戦連続で予選突破し、連続オーバーパーなしの記録は26ラウンド(R)に伸びた。初のツアー優勝を狙う同じ黄金世代の高橋彩華(21)と17年賞金女王の鈴木愛(25)らが首位に立った。

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渋野は強く、優しい。夕暮れのコース。首位と2打差4位に急浮上して18ホールを終えると大勢のファンが待っていた。その中に車椅子の老人を見つける。歩み寄ると手を握り、ボールを差し出した。「応援ありがとうございます。明日も頑張ります」。その光景に拍手がいつまでも続いた。19位から出て、世界を驚かせた全英女子オープンと同じように、後半の「バック9」で強さを発揮した。

「何クソーと言うか、早く終わりて~と思ってました。イーグルパットも入れようと思ってなかった。入っちゃった~って感じ」

見せ場は13番パー5。ピンまで214ヤードの第2打を、5番ウッドで果敢に2オンを狙った。左からの7メートルのイーグルパットを沈め、その時点でトップ10へ。勢いに乗った15番で4メートルのバーディーパットを入れる。最終18番ではピン側1・5メートルに付けて、バーディーフィニッシュ。同組の首位鈴木を諦めずに追い続け、手の届くところまで迫った。

「熱もあって(大会に)出られるかどうか、分からんかった。周りからも『無理して出なくていい』と言われたけど、今の結果を見ると、どうしたんだ? と。自分でもビックリです」

開幕2日前に38・5度の熱を出し、急性副鼻腔(びくう)炎の診断を受けた。ぶっつけ本番の出場で前々週のNEC軽井沢72トーナメントに続く出場2戦連続で優勝争いに参戦。強さは本物だ。勝てば目標の年間獲得賞金1億円を突破し、初の賞金女王へ近づく。周囲の期待を知ってか、知らぬか「腹減った~」と会場を後にした。【益子浩一】