AIG全英女子オープンを制した渋野日向子(20=RSK山陽放送)が、国内ツアーで3勝目を挙げた。

優勝の原動力となっているのが「スマイル・シンデレラ」と呼ばれる笑顔だ。NHKで放送中の「チコちゃんに叱られる」などでおなじみの脳科学者、篠原菊紀・諏訪東京理大教授に、ゴルフにおける笑顔の効果を聞いた。【取材・構成=桝田朗】 

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篠原教授は「脳トレ達人」と呼ばれ、テレビ番組のバラエティーやクイズ番組などの解説者としても活躍している。そんな篠原教授が、渋野の笑顔はプレーに及ぼす効果を解説した。

「楽しいから笑うというのはよく知られていますが、笑いに近い状態をつくっていると、脳自体が楽しくなったり、リラックスするということがあります。口角を上げた笑い顔をつくると、それでリラックスして副交感神経の活動が上がってきます。ゴルフの場合には、力を抜くということが多分大事ですよね。だから、ほかの競技に比べて、必要な筋群以外のリラクセーションってかなり重要だと思うので、そこで(笑顔が)役に立ってくると思います」

渋野の笑顔につられて、ギャラリーも笑顔になる。そのことが、さらに渋野にいい影響を及ぼしていると篠原教授はいう。

「ああやってニコニコしていると、周りの人もニコニコしやすくなる。それを渋野さんも見る形になる。脳にはミラー・ニューロンといって相手の動作とか、意図とかを写し取る細胞群があります。そこが、また自分に返ってきて、リラックスした状態に余計なりやすくなるということがあると思います」

笑顔のほかにも、渋野のゴルフで話題となったのが、プレー中の待ち時間に行うモグモグタイム。何を食べたかが注目されているが、篠原教授は食べる行為自体にも効果があるとみる。

「プレーの間でモグモグタイムって何か食べてますね。あれも、副交感神経の活動を高めているんです。食べると、消化に関する神経系が動き始めるので、リラックスしていきます。それは、いわば自分の実力をできるだけ発揮する、試合で最大のパフォーマンスを発揮するために必要なことだと思います」

渋野の笑顔は、脳科学の分野でもその効果が証明された。篠原教授は「今もっているパフォーマンスを最大限に発揮するためには、リラックスする必要というか、脳に負荷をかけない必要があるので、そうなってきたときには笑顔は役に立ってきます」と、ゴルフだけではなくスポーツ全般においても笑顔は必要だと説いた。