畑岡奈紗(20=森ビル)が2年ぶり3度目の優勝を飾った。首位から出て6バーディー、3ボギーの69で回り通算18アンダーの270。国内メジャーは9月の日本女子プロ選手権に続く2連勝。20歳266日での公式戦4勝目は、69年樋口久子の24歳31日を抜いて50年ぶりに史上最年少記録を更新した。

世界ランクは日本人最高6位(6日時点)からさらに上がる可能性があり、東京オリンピック(五輪)での金メダル獲得を宣言した。

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畑岡が無敵を証明した。15番で2位岡山に1打差に迫られたが、16番パー3のバーディーで突き放した。強い風が吹いても崩れない。最終18番パー5ではあえて2オンは狙わずに刻み、第3打をピンから6メートルにつける。大観衆が固唾(かたず)をのんで見守った長いバーディーパットを、期待通りねじ込んだ。9月の日本女子プロ選手権は2位に8打差の圧勝劇。今回も4打差だ。日本最高峰の舞台で、強い姿を見せつけた。

「日向子ちゃん(渋野)が全英で勝って、差がついてしまったのが悔しかった。昨年のこの大会も勝てていない。あえてそれを思い出しました。悔しい気持ちがあったから勝てた」

16年のこの大会で、史上初のアマチュア優勝を達成した。3年前、最終日に着たのは赤のウエアだった。同世代の渋野に対して芽生えたライバル心。その思いを胸に抱き、初心に帰るために、あの日と同じ色のウエアを着た。徹底した体力管理に、ラウンド中は5番でバナナ、8番では母博美さんが握ったおにぎりを食べた。「エネルギー補給を計算しないとスタミナ切れする」。勝負へのこだわりは、強いと呼ばれる黄金世代の中でも群を抜く。

「この勝利で五輪に少し近づいたと思う。でも、まだまだ世界に行くと力不足。来年までにいい準備がしたいです。(母国開催は)一生に1度のことなので、悔いなくできればいい」

世界ランクは日本人最高6位からさらに上昇する可能性が高く、東京五輪での目標を「金メダル」と宣言した。畑岡に刺激を受けた渋野や河本結らが、来季にも米ツアーに挑戦する。国内メジャー2連勝で24年まで5年間のシード権を獲得。畑岡が強くなればなるほど、黄金世代は輝きを増す。日本から世界へ。そして五輪での世界一へ。「NASA」の夢は、宇宙のように広がった。【益子浩一】