タイガー・ウッズ(43=米国)が、13年ぶりの日本参戦でツアー82勝目を挙げ、ツアー史上最多勝に並んだ。28日は、前日27日、日没サスペンデットで消化できなかった最終ラウンドの7ホールをこなし、通算19アンダー261。第1ラウンドから首位を守る完全勝利で、偉大なる先人、サム・スニードの記録に到達。多くの勲章を手にする生きる伝説が、新たな歴史の扉をひらいた。松山英樹((27=LEXUS)が3打差の2位。石川遼(28=CASIO)は通算1オーバーの51位だった。

優勝直後のインタビューでウッズは「手術をしたり、いろんなことがあったけど、自分のできることをしてこれからも頑張りたい」と笑顔をみせた。

今年4月のマスターズで記録に王手をかけてから左膝の痛み、さらに、その影響で腰も痛めるなど厳しい戦いを強いられてきたが、8月に左膝の5回目の手術を行い、リハビリを経て、米ツアー日本初開催の今大会に照準を合わせてきた。前日は29ホールを行うハード日程だったとはいえ、「いい1日になった」と膝の心配を一蹴し、完全復活で最終日につなげた。

圧倒的な飛距離で勝ち続けてきた以前のウッズではない。それでも、勝利への執念だけは変わらない。出だしで3連続ボギーをたていてつまずいても、大雨だろうが、無観客試合になろうが、自分の世界をつくりだし、リーダーボードの1番上まで駆け上がる。高い技術もさることながら、強い精神力を武器に82個の勝利を積み上げてきた。

20年東京五輪に向けても大きな勝利になった。先週までは、世界ランキング10位。1つの国と地域で最大4人が出場できるが、実力者がそろう米国で7番手と代表圏外にいる。それだけに、この勝利で世界ランキングも確実に上昇するだけに、夢見る舞台へ着実にステップを踏んだ。

1つの目標にたどりついたことで新たな目標がまた見えてきた。4月のマスターズ制覇でメジャー15勝を挙げており、次なるターゲットはジャック・ニクラウスの持つメジャー最多18勝だ。ケガやスキャンダルで低迷し、「タイガーは終わった」と言われたところから第一線に華麗に復活した世界的スーパースターが、新たな領域を目指していく。