【新北(台湾)10月31日=松末守司】AIG全英女子オープン以来、2度目の米ツアー挑戦となる渋野日向子(20=RSK山陽放送)が5バーディー、2ボギー、3アンダーの69で回り、8位と上々のスタートを切った。強風が吹く悪条件も取り組んできた風対策で攻略し、ネリー・コルダ(米国)ら首位に3打差。いつもの自然体で“渋野劇場”が幕を開けた。

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「壁ドン」でカムバックした。渋野は大会前、難関グリーン対策にいつもの強気のパットではなく「ジャストタッチ渋野」を掲げて挑むと宣言したが、後半であっさり封印を解いた。14番で初ボギーをたたいて2アンダーと後退しかけて迎えた16番。第2打をピン左4メートルにつけた。対策通りにソフトにと思いきや、一転、強気のパットでバーディーを奪取した。

続く17番も7メートルを残したが、力強く打って連続バーディー。「ジャストタッチじゃなかった。アドレナリンがでちゃうんですかね」。この日の点数を聞かれると「ななずぅーごてん!(75点)」。しぶこ節で笑わせた。

台湾の風を攻略した。同会場は常に風速10メートル近い風が吹く。さらに、日本でも風が強くなるこの時期の対策として、約1カ月前から低い球を打つ練習を積んできた。青木翔コーチは「手先で打つのではなく、球を抑え込んで体で打つようにした。練習の成果が出た」と納得した。

課題にしているアプローチでも、ヒントを見つけ成果を発揮した。前週のマスターズGCレディースで同組で回った三ケ島かな(10位)のアプローチを研究。この日の1番パー4の第2打でグリーンを外したが、外から打ってチップインバーディーを決め好発進につなげた。「三ケ島さんが手首を使わないアプローチですごい寄せていた。コーチとあの打ち方できたらいいねと言っていて練習してきた」とさっそく形にした。

全英女子オープン以来の米ツアーだ。同組はメジャーを制したハンナ・グリーン(オーストラリア)、李晶恩(韓国)。浮足立っても不思議はない状況だが「緊張はない」と話したように、マイペースでおにぎりやお菓子をほお張る。前が詰まって待たされた18番ティーショットでは、台湾のファンに声をかけるなどいつも通りの自然体。2人のプレーを見て「ギャンうまい」と話し、「台湾の人に知ってもらっていてうれしい」とどこにいても雰囲気を楽しんでいる。

米ツアー2連勝へ首位と3打差と好位置につける。「流れを切らさないで、あとはパターをもう少し決めたい」。しぶこは台湾でも、スマイルを全開させる。