17年以来の賞金女王へ、鈴木愛(25=セールスフォース)に“他力”で逆転優勝のチャンスが巡ってきた。17位から出て4バーディー、2ボギーの70で周り、通算1アンダー、215で12位に浮上。前日から首位のスコアは7アンダーと伸びず、6打差に縮まった。12年大会の覇者で、17年以来のツアー22勝目を目指すイ・ボミ(31=韓国)が7アンダーで首位に立った。

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正念場で鈴木が底力を発揮した。前半の貯金を11、12番と連続ボギーで吐きだした。直後の13番から連続バーディー。「追いかける立場で、ボギー、ボギーはこの展開ではないなと。自分に腹立つ部分があったので、思い切ってやろうと思って吹っ切れた」と振り返った。

その後はチャンスにつけてもバーディーが取れない展開。我慢を続けて2つスコアを伸ばした。すると思わぬ展開が待っていた。上位争いのスコアが伸びない。首位から出たテレサ・ルーは3つスコアを落とした。代わって首位に立ったイ・ボミも第2日と同じ7アンダー止まり。賞金女王を争う渋野も5アンダーと、手の届く位置にきた。

「上位があまり伸びていないので、自分がビッグスコアを出せれば、もしかしたら優勝のチャンスもあると思う」と、3日間で初めて前向きな言葉も出た。

練習、練習でこの地位を築いてきた。前日は、日が暮れても黙々とパターを降り続けた。この日も、同じ場所で練習していた渋野ら、他の選手が引き揚げても、黙々と練習した。1年以上やっていなかったというロングパットを続け「体で押す感じが感じられた」と手応えもつかんだ。

首位から6打差で逆転優勝をうかがうが、渋野が2位以下なら10位以内で賞金女王が決まる。1カ月前までは、首位の申ジエと3000万円以上の差が離れ、可能性を考えたこともなかった。「申ジエさんか渋野さんが勝つと思っていた人がほとんどだと思うので、最後もいい意味で期待を裏切って自分が賞金女王を取れたら」と、人事を尽くして天命を待つ。【桝田朗】