今月から土曜日は「ゴルフ流 Education」です。国内ツアー通算64勝、国内外で数々の名勝負を演じた“レジェンド”中嶋常幸プロ(65)は、ジュニアゴルファーを育成する「トミー・アカデミー」を主宰。その経験も踏まえ、子育て世代、指導者へメッセージを送ります。

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前回に「トミー・アカデミー」ではあいさつを大切にするとお伝えしましたが、もう1つ必ずやることがあります。ゴルフ場での合宿の際、一般ゴルファーがスタートする前にジュニアたちはグリーン整備と目土(ディボット跡に砂を入れて修繕)を手伝います。自分たちがラウンドをする前に、多くの人がコースを整備してくれることを実感してほしいからです。

今は何でも与えられるのが当たり前と思う子がいるかもしれないけれど、美しいフェアウエーやグリーンがあるのは当たり前のことではなく、芝を守っている多くの方々がいるからなんです。それを知れば感謝の気持ちも生まれるし、コースのスタッフへのあいさつ、態度にも表れます。

僕がジュニアだった時、支配人の厚意により、割安でプレーさせてくれるコースがありました。その条件がやはりあいさつと目土をしっかりやることでした。いい“教育”を受けたと思っています。

事実を知る、正しい知識を得て、見極めるということが大事なのでしょう。

例えば新型コロナウイルスの件、怖がるだけでは難しいと思う。休校などで、子どもが家に閉じこもりがちでしょう。一方で「正しく怖がる」という言葉がある。風通しのいい場所で、多くの人が集まらず、密接しなければリスクは少ないとも聞きます。制約は多いだろうけど、地域や環境によっては可能な範囲内で、子どもたちが広々としたオープンエアに出て、体を動かすことは悪くないと思います。免疫力をつくるビタミンDのためには、日光を浴びることも必要といわれています。

空気がよどんでいることが最も警戒すべきこと。大切なことは免疫力を高めることです。正しい知識の下に、乗り切りましょう。(中嶋常幸)

◆中嶋常幸(なかじま・つねゆき)1954年(昭29)10月20日、群馬県生まれ。父巌氏の英才教育で腕を磨き、73年日本アマで最年少優勝。75年プロ入り。翌年初勝利を挙げ、13年スターツシニアまで国内ツアー通算64勝、レギュラーツアー賞金王4回。青木功、尾崎将司とともに「AON時代」をつくる。88年全米プロ3位など、米メジャー4大会すべてでトップ10入りした初の日本選手、史上初の日本タイトル7冠達成。19年1月日本プロゴルフ殿堂入り。一方で12年から「トミー・アカデミー」を主宰し、畑岡奈紗らを育てた。静ヒルズCC所属。