ツアー競技プロデビュー戦の渋沢莉絵留(19=フリー)が66をマーク、通算6アンダーのV争い圏内で予選通過を確実にした。イーブンパーの54位からスタートして、前半11番からの3連続を含む6バーディーを奪い、ボギーなし。ホールアウト時点で3位に急浮上した。
「いや、ビックリです。こんなに急にバーディーがとれるなんて…。ボギーを打たないことを考えていて、バーディーを何個とったかもわかりませんでした」
20年度生まれのミレニアム世代の1人。昨年11月に今大会開催コースのプロテストに合格したが、最終QTは85位。ツアーフル参戦が厳しくなった今年春に世間はコロナ禍に突入。「ゴルフしかすることがなくて…」。朝6時半から9ホールを回り、午後に2~3時間のショット練習、帰宅後にパット&アプローチの日課を数カ月繰り返し、技術を向上させた。
「近代日本の資本主義の父」で、2024年から新1万円札に登場する渋沢栄一と、家系でつながる。
「周りの人にそれを聞かれるようになって、いろいろ調べたんですが、どこまで近いかはあまりわからなくて」
事実関係を説明できず申し訳なさげだが、そのゆっくりした口調と落ち着きに「品」が漂う。コロナ禍にあって「私にできることを」と地元の群馬県太田市にマスク8000枚を寄付した。
古江彩佳、安田祐香ら同じミレニアム世代の仲間、笹生優花ら年下のプロ合格同期が脚光を浴びる中、少し遅れてプロの世界で第1歩を踏み出した。
「笹生さんとはプロテストの初日、同組になった。とにかく飛距離がすごくて、ドライバーは50ヤード以上、おいていかれました」と苦笑いする。だが、羨望(せんぼう)も焦りもない。
「早くツアーに出たいと思っていたけど、同世代の子に気持ちを引っ張ってもらってますからね」
決勝ラウンドで、待望の上位争いだ。