渋野日向子(21=サントリー)が、今季4戦目で初めて好スタートを切った。出だしから2ホール連続バーディーを奪うなど、4バーディー、2ボギーの70で回り、首位と4打差の2アンダーで19位。8月のAIG全英女子オープン後に練習を始めた、クロスハンドの握りのパットがさえ、今季7ラウンド目で初のアンダーパーをマークした。日本勢は畑岡奈紗も2アンダーの19位、河本結が33位、野村敏京が65位、上原彩子が94位となった。ネリー・コルダ(米国)が6アンダーで首位に立った。

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2連続バーディーと絶好のスタートから守ってきた貯金を、使い果たす寸前だった。1アンダーで迎えた17ホール目の8番パー3。渋野はティーショットを左に曲げ、アプローチを7メートル近くオーバーしていた。右へ左へ曲がる「スネークライン」のパーパットを、絶妙なタッチで沈めた。外せばイーブン、悪い流れに乗って最終9番でオーバーパーもあり得る状況を回避した。逆に勢いを得て、9番パー5は第3打を50センチに寄せてバーディー締め。今季4戦目で初のアンダーパーに笑顔が弾けた。

「今年1番いいゴルフができた。バーディー、バーディー発進でビックリしちゃって(3ホール目で)ボギーを取った時は安心した感じだった(笑い)」と、冗談交じりに振り返った。好調を支えたのは、全英女子オープン予選落ちの翌日から練習を始めた、左手を下にするクロスハンドのパットだった。アマチュア時代も含めて初の握り方。それを練習開始から3週間足らずで迎えた初の米国での試合、しかもメジャーで投入と大胆に変更した。総パット数28は今季最少で、33を超えた英国2戦の平均より、5打以上少なかった。

クロスハンドは「頭が動いたり左肩が上がる」という、悪癖改善の効果があった。何よりも、米国の速いグリーンには「今までの強気のパットは合わないんじゃないかと思った」と、今季3戦全て予選落ちの現状打破へ自ら考えて決めた。「練習する中で距離感もつかめてきた」と、全英女子オープン後、帰国せずに行った米ロサンゼルスでの猛練習で自信を深めた。8番のパーパットも「あれは今までの打ち方だったら入っていなかったと思う」と、早速効果を感じている。

今季初めて納得のいくスコアを出し、予選落ちした3試合とは違う明るい笑顔が戻ってきた。前年優勝者として重圧を感じていた全英女子と比較しても「全英の時とは全然違う気持ちで臨めている。吹っ切れたんだと思います(笑い)」。メジャーだからと萎縮せず大胆に新技も投入する、挑戦者の姿勢も取り戻した。