渋野日向子(21=サントリー)が、約4カ月ぶりの国内ツアー復帰初日に、ホールインワンを達成した。実測151ヤードの8番パー3で、ティーショットを直接カップに入れて大喜びした。18年アース・モンダミン・カップの第1日、9番で達成して以来、プロでは2度目。1イーグル、1バーディー、3ボギーの72、イーブンで首位と5打差の32位だが、欧米遠征から復帰後すぐに存在感を示した。勝みなみが首位に立った。

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8番アイアンを振り抜いた渋野は、打球の行方を見ていた。151ヤード先のカップから「コロン」という音が聞こえた。打球はピン手前2メートルに着地し、2バウンド後に転がってカップイン。2年ぶりプロ2度目のホールインワンを告げる音を確認し「オーッ」と驚きの声を上げ、口元を抑えた。門田実キャディーと肘タッチを交わして喜んだ。

「ピンより奥に行ってもいいと思っていた。まあ、うまいこといきました」。通常ならファンの歓声でカップインの音はかき消されるが、今年は新型コロナウイルス感染症対策で全試合が無観客開催。「ギャラリーさんがいなかったからこそ聞こえた音。すごく不思議な感じ」と、特殊な体験ととらえていた。

運の要素は大きいが、準備は万全だった。同じパー3の4番でティーアップして放った第1打がグリーンに届かなかった。「(ティーを)差さずに打とう」と、8月からの欧米遠征中に始めた地面に直接ボールを置くティーショットに変更していた。さらに門田キャディーは「練習ラウンドで、ちょうど今日のピン位置辺りに打っていた」と、前日29日に“予行演習”を行っていたと明かした。

アマ時代を含めて5度目のホールインワンだった。「(練習などではなく)全部試合です。『持ってる』と言いたいですけど…」。実は過去の4度は「全部予選落ちです。ハハハッ」と笑って明かした。4カ月ぶりの国内復帰でスタート前は「手が震えた」。それも吹っ切れ「4回失敗しているので、さすがに今回は予選を通過したい」。千両役者が最終日まで盛り上げる。【高田文太】

◆国内女子ツアーのホールインワン 渋野は18年6月21日のアース・モンダミン・カップ第1日、9番パー3で達成して以来、2度目。同日は69で16位だったが、第2日を74で回り、通算1オーバーの96位で予選落ちした。今季の国内女子ツアーでは西山ゆかり、サイ・ペイイン、イ・ミニョン、蛭田みな美、青木瀬令奈、佐久間朱莉、山路晶、申ジエに次いで9人目。今堀りつ、城戸富貴、金万寿、塩谷育代、高村博美の5人が6度達成し歴代最多。