01年度生まれ「新世紀世代」の山下美夢有(19=加賀電子)が4バーディー、1ボギーの69と伸ばし、通算9アンダー、135で単独トップに立った。強風が吹き荒れる中、冷静なゴルフを展開。独自メニューで強化した体幹と、約300万円で購入した弾道測定器で磨いた技術がしっかりとかみ合った。同世代の笹生に続き、悲願の初優勝を目指す。

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風にも負けない技術と体幹で山下が首位を守った。4バーディーを奪ったが、スコアを支えたのはピンチでのパーセーブだった。葛城GC特有の強風の中、12番では1・5メートルの下りスライスラインのパットを沈め、14番では「微妙な距離」という1メートル強を沈めた。「なんとかしのいでいけた」。粘り強いプレーで、自身初の単独トップに立った。

この日のパーオン数は18ホール中16度と出場選手中トップ。150センチの小柄な体から放つ正確で力強いショットは独自のトレーニングで培った。水を入れた約20キロのポリタンクを持ち上げたり、両足に2キロの重りをつけて坂道ダッシュをしたり。時には近所の高さ50センチほどの段差でジャンプを繰り返した。「止まってやるんじゃなくて動きながら。体幹を鍛えられるようなメニューをやっていました」。体重は1年前から4キロ増え、飛距離も20ヤードほど伸びた。「ポリタンクも前より重たいものを持てるようになった」と成長は続いている。

昨夏には「すごく悩んだけどレベルアップにつながる」と約300万円の弾道測定器トラックマンを自費購入。現在の生涯獲得賞金約1400万円の約2割を費やす「人生最高」の買い物を19歳で決断した。今オフには男子ゴルフの中嶋常幸(66)のもとを訪れ指導も受けた。47歳離れたレジェンドから「優勝争いしている時はプレッシャーを楽しみながらプレーした方がいいよ」と金言も授かった。

同じ「新世紀世代」の笹生は米ツアー、ANAインスピレーション第1日で8位の好スタートを切った。すでに国内2勝の同期に続く初優勝へ。「刺激になっていますし、自分も負けられない」。残り2日に全てをぶつける。【松尾幸之介】

◆女子ゴルフ界の新世紀世代 98年度生まれの渋野日向子らの「黄金世代」、昨年3勝の古江彩佳ら00年度生まれの「ミレニアム世代」に次ぐ世代として、01年度生まれの選手らを指す。19年度のプロテストで山下のほか、笹生優花と西郷真央の3人がプロテスト規約改定により高校生ながら合格。優勝は昨年2勝の笹生のみだが、20年6月のプロデビュー以来、トップ10に西郷と山下がそれぞれ3度ずつ入っている。