夢が現実になった。マスターズで松山英樹が日本男子初のメジャー制覇を成し遂げた。松山にとって念願だった勝利は、日本のスポーツ界にとっても快挙。さまざまな人物、側面から「夢のマスターズ 日本人初V!!」と題した連載で、この偉業に迫る。

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これ以上ない刺激が、米ジョージア州のオーガスタ・ナショナルGCから届いた。松山の活躍に「同級生で良かった」と胸を張った木下稜介(29=ハートランド)は、今年の国内ツアー初戦へ向けた遠征先の三重で日刊スポーツの取材に喜びを口にした。

高校時代、同じ四国地方で切磋琢磨(せっさたくま)した。同学年で、木下は香川西、松山は明徳義塾で腕を磨いた。「感動しましたし、うれしいし、優勝が決まった瞬間は感極まって自然と涙が出てきました」。ここでも涙がこぼれた。

高校時代の松山について「背は高かったけど、体はまだ細くて。まさかマスターズを優勝するとまでは…」。当時から木下が感じていたのは猛烈な鍛錬。「練習量は人一倍。彼は全てうまいですが、中でもショット力は世界一に近い。それはあれだけの練習量があるからだと思います」。

もう1つ、松山の強みは「貪欲さ」だと指摘する。今年1月、推薦出場した米ツアー、ソニー・オープンで松山とともに過ごした時間で、それを強く感じる出来事があったという。ともに練習ラウンドを行った時のこと。「パターで悩んでいたみたいで、僕に『アドレスの時にどこ見てるの』って質問してきたんです。僕もそんなにパターが得意ではないのに。あのレベルになっても貪欲に追求する姿勢をすごく感じました」。

世界中に広まったニュースで、当然、木下にも火がついた。「やる気を上げるには十分過ぎる」。そして「海外でやることについては、どこか漠然としていましたが今回でスイッチが入りました。(松山と)同世代として日本のゴルフ界を盛り上げたい。そういう思いはさらに強くなりました」。松山効果は、計り知れない。【松尾幸之介】(つづく)