約半年ぶりの復帰となったツアー通算18勝の大山志保(44=大和ハウス工業)が3バーディー、3ボギーのイーブンパー、72でまわり、暫定33位でスタートした。降雨により途中で約5時間の中断があり、一部の組が日没サスペンデッドとなった。

大山は20年11月の大王製紙エリエール・レディース後に左鎖骨付近に痛みを感じ、以降の全大会を欠場。上腕付近に負担がかかることによって肩や腕などにしびれや痛みの出る胸郭出口症候群と診断されたほか、3月には復帰へ向けた練習中に右足首を捻挫。今大会の開幕前会見では「周りの方にたくさん支えてもらいました。1日でも早く復帰したいという気持ちで今回はここに来ました」と涙も見せながら思いを語っていた。

午前組だった大山は無事に18ホールを終えた。「久しぶりの大会だったので、昨日の晩からドキドキしていた」というが、スタートした10番の選手紹介時に「この大会の何年大会かの優勝者って間違えて紹介されて…。してないしてないって思いながら、それで少し緊張がほぐれて笑ってスタートできました」と振り返った。

この日はアマチュアで21歳のの花渕里帆らとラウンドし、「親子くらいだね~。なんて話していた」と笑ったが、「試合になると興奮していた」と集中力もじわじわと復活。13番で5メートルを沈めて初バーディーを奪うと、15番でも6メートルを決めてバーディー。「思っていた以上にいいゴルフができた」とうなずいた。

降雨による約5時間の中断が万全でなかった体の状態も助けた。昨夜から「左腕がうずき始めていた。気圧の影響とかもあるのかな」と不安を募らせたが、中断によって気温の高い午後帯のラウンドとなったことで痛みが引いたという。「キャディーさんと中断があってよかったねって話してました」。この日の自己採点は85点。「今週は痛みをこれ以上悪化させないこと。自分は体を引きずっても棄権はしないタイプ。今日はプレーに必死で(無観客の中)ギャラリーのみなさんがいるような感じもしたし、ガッツポーズも出た」と力を込めた。

5月25日はぞろ目となる44歳の誕生日だった。「久々の試合で楽しい、うれしい、悔しいという気持ちを味わえたことが本当によかった。いい年になると思います」。約半年ぶりの実戦で、ベテランが勢いに乗ってきた。【松尾幸之介】