石川遼(29=CASIO)は67で通算7アンダー、14位とした。

「ビッグスコアを目指したい」と第2ラウンド後に語った通りの結果を残す中、2番パー5(559ヤード)で意義深いイーグルを奪った。

「アゲンストの中で2オンできたのは収穫ですね」。残り260ヤードを3番ウッドでグリーンに乗せ、12メートルを沈めた。

昨年からのスイング改造の狙いは、ショットの精度を向上させるためだ。軌道は縦回転から横回転のシャローに。トップの位置を浅く、コンパクトに。「自分が気持ちよく振って、結果につながるなら、1番いいんですが、コーチと話し合って“それは違うな”という結論に至って着手した。最初はすごく気持ち悪かったし、今もまだ少し気持ち悪い」。自分の中のスイング・イメージを根本から変える、ゴルフ人生で最大級とも言える取り組みを「今まで使っていた頭の中の回路ではなく、新たな回路をつなぐというか。そんな感じです」と説明する。

単純に考えれば、スイングをコンパクトにする分、精度は上がるが、飛距離は落ちる。ところが、だ。20-21年シーズンのドライビング・ディスタンスは平均304・72ヤードで3位。「初めて300ヤードを超えた」と喜んだ19年の平均300・92ヤード(部門別9位)を上回る。「理屈では間違いなく、距離は落ちるはずです。だから、不思議なんですよ」。そう言いつつ、表情は明るい。

覚悟していたマイナス面をカバーすべく、スイング改造に並行して筋力アップにも注力はしてきた。それが、想像以上に効果的なのか-。手探りで1歩ずつ上がってきた階段は、まだまだ道半ばだが、石川本人も予想できなかった“うれしい誤算”が生まれつつあるのかもしれない。【加藤裕一】