35歳で初の栄冠を手にした。1日の北海道アマチュアゴルフ選手権で、初優勝を成し遂げた。第1日から4日間、1度も首位を譲らない強さをみせての完全優勝に「気持ちいいですね」。ツアー通算21勝の池田勇太プロが同学年にあたるニューヒーロー。優勝カップをかかえながら、自然と笑みがこぼれた。

ゴルフとの出会いは、小学4年、10歳の頃だった。ゴルフ好きの父に練習場へ連れられて行ったことが始まり。札幌光星高を卒業後、三重中京大に進学。プロを目指し汗を流していた。大学卒業後も就職せずにゴルフに打ち込んだ。国内でツアープロ資格を得るため、ゴルフツアー機構のQT(クオリファイング・トーナメント)に挑戦していたが、26歳の時にゴルフの道を断念。夢をあきらめ溶接の仕事に就いた。

故郷の札幌には5年前に戻ってきた。「札幌が好き」と地元での再出発を決意した。1つの夢でもあった飲食店を市内に立ち上げ、現在も経営者として働いている。

一度は競技ゴルフから離れたが、プライベートで年に10回程度ラウンドすることはあった。飲食業を営む中で時間に少し余裕ができたこともあり、2年前に競技への再チャレンジを決意した。復帰当時を思い返し「下手くそでしたね」と笑うが、昔の感覚を徐々に取り戻していった。19年の北海道ミッドアマチュア選手権で3位。今大会も2位に4打差をつけての優勝と力をみせつけた。

日本アマチュアゴルフ選手権(29日開幕、茨城・大利根CC)に初出場する。「4日目やれたらいいですね」と、まずは予選通過を目標に定める。第2のゴルフ人生は始まったばかりだ。【山崎純一】

◆工藤大之進(くどう・だいのしん)1986年(昭61)2月7日、札幌市生まれ。札幌幌西小4年でゴルフを始める。ドライバー平均飛距離は280~290ヤード。家族は両親と妹2人。血液型A。得意クラブは58度のウエッジ。ベストスコア63。趣味はサウナ。177センチ、73キロ。