21年ツアー5勝の稲見萌寧(21=都築電気)が6アンダー、66を出し、首位に2打差2位スタートを切った。6バーディー、ボギーなしで、ツアートップ10発進を4戦連続に伸ばし、自己最長を更新してスロースタート癖も解消。2番手につける東京オリンピック(五輪)代表争いを大きく前進させる優勝へ、最高の滑り出しだ。比嘉真美子が8アンダー、64で首位に立った。

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午前より風が強まった午後組で、稲見が“21年最強”の力を見せた。4、8、10番のバーディーはショットを50センチ、2メートル、1メートルにつけ、ティーショットの安定感が増した後半に3個を追加。14番のバーディーは、左2メートルからカップにけられかけ、右からクルリと1回転して入る運もあった。

ツアー休みの前週は練習で「ショットが本当にひどかった」と言う。悩みの定番はテークバックの始動30センチにあるが、トップ、切り返しにまで広がり、左右にOB、トップにダフり…。しかし、本番ではスコアを作る。おまけに苦手なはずの第1日も直近4戦は完全克服で4、1、2、2位と連続トップ10発進を自己最長4戦に伸ばした。「…う~ん、そうかもしれませんね」とうれしそうだ。

事実上2枠の東京五輪代表争いは現在、畑岡に次ぐ圏内の2番手。決定までの残り3戦で3番手・古江らと争うが、今大会優勝なら逃げ切りの可能性が一気に高まる。「代表はゴールじゃなく、目標は1年間を戦い抜くこと」と言うものの、名誉はうれしい。「残り3日。何があるかわからないので、まず明日。1つでもスコアを伸ばしたい」。気を緩めず1歩ずつ、稲見が代表に近づいていく。【加藤裕一】