おかえりモネ! 東京五輪代表の稲見萌寧(もね、21=都築電気)が、4バーディー、ボギーなしの68で回り、通算3アンダー、141。56位から出て、今年5勝を含む定位置のトップ10目前の11位まで急浮上した。

前週は初の2戦連続予選落ちを喫したが、3戦ぶりに決勝ラウンドに進出。新型コロナウイルスの感染状況次第では、開会式参加に前向きな意向を明かすなどコース内外で五輪モードに突入した。西村優菜が8アンダーで首位に立った。

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NHK朝ドラのヒロインばりに、稲見が逆境からはい上がってきた。出だしから連続パーで迎えた3番パー5。第2打をフェアウエーから5メートルほどこぼれた、急斜面の底に打ち込んだ。腰の高さまである草むらからの第3打は、グリーンを大きく外した。ピンチに次ぐピンチも、第4打を2・5メートルに寄せてパーセーブ。握り締めた右手を上下に揺らす、ゴルフファンにはおなじみとなった、独特のガッツポーズも帰ってきた。「あそこで耐えられたのが大きい」。その後はボギーなしで4つ伸ばした。

今年は17戦に出場して5勝、トップ10入りは11度と抜群の成績だ。それが前週は初の2週連続予選落ち。この日は「やっと通れた。3週連続(予選落ち)を阻止できた」と、本音を漏らして笑った。気付けば定位置のトップ10も目前だ。

前日8日、五輪は首都圏会場で無観客に決まった。埼玉・霞ケ関CCで行われるゴルフも含まれ「普段は日本で見られない選手を見るチャンス。さみしいですね」と、入場できないファンを思いやった。開会式については「出たい気持ちはあるけど(コロナ禍の)この状況。五分五分」と、環境次第で参加に前向きだ。決勝ラウンドは「失うものは何もない」。プレーとともに内面も五輪モードになってきた。【高田文太】