C・キム(31=米国)が昨年12月日本シリーズ以来となるツアー通算6勝目を挙げた。首位スタートから5バーディー、3ボギーの69で通算14アンダー、270として逃げ切った。19年のドライバー平均飛距離「315・83ヤード」で歴代最長記録をマークした怪物が、コースマネジメントで覚醒。進化を遂げて、賞金ランク1位に浮上した。2打差2位に大槻智春、池田勇太、香妻陣一朗、19歳の久常涼は9位だった。

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真っ青な秋空から、C・キムのボールがグリーン手前にどすんと落ちた。380ヤードの14番パー4。第2打はたった42ヤード。60度のウエッジで軽く80センチに寄せ、楽勝バーディー。自慢のドライバーショットで2位との差を3打に広げ、優勝を大きく引き寄せた。

「自分が決して得意じゃないコースで優勝できたのは自信になります」。過去出場4回で最高が19年の19位。飛ばし屋がてこずりがちな狭い三好CCを攻略。ツアー6勝目の歓喜は格別だった。

身長188センチ、体重102キロのビッグヒッターは16、17年に続き19年はツアー歴代最高の315・83ヤードでドライバー平均飛距離1位になった。20-21年シーズンは現在300・61ヤードの5位。距離は「落ちた」のでなく「落とした」のだ。

「最終的な目標はより遠く、真っすぐ飛ばすこと。でも、今はもう少しスマートにマネジメントを考えている。ドライバーの回数も少し減った。ラフでもOKなら握るけど、フェアウエーに起きたいなら3番ウッドか7番ウッド。そんなに距離も変わらないし」。

イーグル率も1位から8位にダウンしたが、平均ストローク6位→5位、平均パット数22位→6位、パーキープ率21位→5位、パーオン率21位→4位バーディー率11位→2位…。他の部門別ランクは軒並みアップし、今大会Vで賞金ランクまで1位に浮上した。

今後は賞金王争い、3週後に日本開催される米ツアーZOZO選手権でのパフォーマンスに注目が集まる。「全部が目標です」。米ツアー志向から、米下部コーンフェリーツアーの予選会にも出たいが、コロナ禍を考慮し今年は断念。「来年にチャンスがあれば挑戦したい」と話す。

9月初旬のフジサンケイクラシックからパターを変えた。シャフトは「世界の飛ばし屋」デシャンボーが使うカーボン素材。ドライバーも前週にチェンジ。「パットのフィーリングはいい。ドライバーも今までより飛んで曲がらなくなった」。次戦ブリヂストンオープン開催地の千葉へ。「途中で好物のうどんを食べて、ゆっくり向かいます」。進化する怪物はご機嫌でマイカーのハンドルを握り、約7時間の旅路についた。【加藤裕一】

◆C・キムのクラブ

▼1W=PING G425MAX(シャフト=グラファイトデザイン ツアーAD DI、硬さ7X、長さ45・25インチ、ロフト角9度)▼FW=同 G425(3W14・5度、7W20・5度)▼アイアン=同 ブループリント(4I~PW)▼ウエッジ=タイトリスト ボーケイSM(52、56、60度)▼パター=PING ヘプラーアンサー2▼ボール=タイトリスト プロV1X