浅地洋佑(28=フリー)が19年9月ANAオープン以来約2年2カ月ぶりのツアー通算3勝目を飾った。

堀川未来夢(28)石坂友宏(22)と最終日最終組で競り合い、17番パー4で左ラフからのスーパーショットでバーディーを奪取。68で通算16アンダー、272とし、最終的に2人を2打差で振り切った。ウエッジを5本も入れる“赤毛の業師”が勝負どころで本領を発揮した。

ピンチのはずが、どこか楽しい。堀川、石坂と同スコアで迎えた17番パー4。浅地が第1打を左ラフに打ち込んだ。ピンまで残り180ヤードだが、真っすぐ狙えない。15ヤード先の木の枝の左を抜き、OBゾーンのかかる左前方の林の上を越えて…。スライスが必要だが、ラフだ。好きなようにスピンもかけられない。「でもまあ、7番アイアンで普通に打てば超える林だし」。スライスといかないまでも、フェードの効いた確かな弾道でグリーンをとらえ、ピン右手前6メートルへ。バーディーパットをねじ込み、勝利を大きく引き寄せた。

ドライバーショットのキャリー300ヤード超が珍しくないパワーゴルフの時代に、169センチ、68キロの小さな体で勝負する。浅地は振って280ヤード。「僕みたいなスタイルは、長いコースなら諦めます。でも、短くて、狭いところなら。スイッチを切り替えて」。特別長くはないが、技術が要求されるABCGCは戦える。6月全米オープン出場時にウエッジをピッチング、48度、52度、57度、62度にした。元々得意なショートゲームを分厚くした。「もっと底上げして、そこから“絶対2回で上がる”ようにと。それなりのロフト・バリエーションに」。今大会は連日、パー3を除く全14ホールでドライバーを握った。絶対的なショートゲームを背景に、攻撃的なゴルフを展開した。

1カ月前、髪を赤く染めた。「1度したかったんで。でも、周りからはめちゃくちゃ言われます」。茶髪に始まり、金、銀、灰色と来て、少なくとも5色目。ゴルフも、ゴルフ以外も遊び心とイマジネーションが全開だ。

東京・杉並学院高卒で、ジュニア時代から“石川遼の後輩”と騒がれたが、そろそろ30歳の声が聞こえる。今季残り4戦となり、今後の目標を聞かれると「う~ん、賞金1億円を突破したいです」。今大会優勝の3000万円で今季約5096万円。あと5000万円も足りない。「じゃあ、あと2勝ぐらい?」と振られて「いえ、全部2位で」と笑う。小さな赤毛の業師が円熟期を迎えつつある。【加藤裕一】

◆浅地洋佑(あさぢ・ようすけ)1993年(平5)5月24日、東京生まれ。ゴルフは6歳から。08年日本ジュニア優勝。石川遼の2年後輩だった杉並学院高卒業後、11年12月プロ転向。12年に当時の最年少記録「19歳14日」で下部ツアー優勝、同年に初シード奪取。19年ダイヤモンドカップでツアー初優勝。得意クラブはサンドウエッジ、趣味は料理。家族は妻、長男。169センチ、68キロ。