国内男子ゴルフツアーの今季最終戦、日本シリーズJTカップに賞金ランキング2位で臨む木下稜介(30=ハートランド)が、一足早く賞金女王に輝いた、同門の稲見萌寧の熱烈な叱咤(しった)激励に奮起し、逆転での初の賞金王戴冠を誓った。開幕前日の1日、会場の東京よみうりCCで最終調整。「1位の選手と少し差が開いてしまっていますし、優勝しか賞金王はないと思っている。泣いても笑っても最後。稲見選手から『後に続いてくださいね』と言われた。『あとは気合と根性です』とも言われて(年下だが)『そうですね』と敬語になってしまった」と、冗談交じりに稲見とのやり取りを明かしつつ、気持ちが高まったことを明かした。

今季獲得賞金は1億1385万9647円で、賞金1位のチャン・キム(米国)を1239万564円差で追っている。今大会の優勝賞金は4000万円で、2位は1500万円。最終戦で木下が優勝すればキムの順位に関係なく、木下が単独2位でもキムが13位以下なら逆転する。同じ奥嶋誠昭コーチ(41)に師事し、11月28日まで行われた国内女子ツアーの今季最終戦、ツアー選手権リコー杯で賞金女王となった稲見からは、SNSを通じて「まだまだ気合と根性が足りないので、最後ぐらい見せてください!」とも言われたという。

これには木下は「本当に調子とかは関係ない。最後の一戦なので、気合と根性で優勝をもぎ取れるように頑張りたい。気合で真っすぐ飛ばして、根性でパターを入れる。稲見選手も途中で故障もあり、プレッシャーもあって苦しかったと思う本当に彼女は気が強いプレーヤーだと思うし、自分にないものをたくさん持っている。見習う点はたくさんある。年下ですけど、経験、成績は上だと思うので、気合と根性だけはしっかりと持って、4日間プレーしたい」と発奮していた。

同時に、奥嶋コーチへの感謝の思いもこみ上げた様子だった。今年6月にツアー初優勝を果たし、翌週には2勝目。その後も賞金ランキング上位をキープし続けた。「優勝させてくれたのもコーチのおかげですし、ここまで来ることができたのもコーチのおかげでもあるので、コーチのためにも賞金王を取って、アベック賞金王を取れれば最高の恩返しになるかなと思います」と、晴れやかな表情で話していた。

取材対応の最後には、稲見に「気合と根性」と言われることになった経緯も明かした。「こちらから『調子があんまり良くないんだけどな』と返したら『気合と根性が足りていない』と来た。それで『はい、頑張ります!』と(笑い)。怒られました」。稲見がメンタルコーチのような役割となって、気持ちを前向きさせてくれたことに感謝していた。